第1章24話:パーティー
「お前たちは……!?」
ジャランが叫ぶ。
そのときジャランの視線がフィオネに留まる。
目を見開いた。
「フィオネ!?」
「……」
「ここは……ダンジョンの中か? なぜ俺がこんなところに……」
ジャランは混乱した様子で周囲を見回した。
そして何かを思い出したのか、顔色を変えた。
「そうだ……ロウが俺を攻撃してきて……穴に落ちて……!」
ジャランは慌てて自分の身体を確認する。
右腕を動かす。
足も動かす。
「あ、あれ……?」
ジャランが困惑した表情になった。
「怪我が……ない?」
確かに右腕を骨折していたはずだ。
全身に打撲も負っていた。
しかしいま、ジャランの身体には傷一つない。
完全に治癒されていた。
「どういうことだ……?」
実は、これはアルヴァトールが刻印をつけたとき、その副作用で治癒が発生したのだが。
だがジャランはそんなことは知らないうえに、魔族と遭遇したこと自体を忘れていた。
呆然とするジャラン。
そして彼は勘違いをした。
「お前たちが……俺を治癒したのか?」
「え?」
フィオネは首をかしげる。
もちろん治癒などしていない。
つい先ほどジャランたちを発見したばかりだ。
しかしジャランは勝手に解釈した。
「そうか……お前たちが俺を助けて、治癒魔法をかけてくれたんだな」
「いや、そうじゃなくて――――」
フィオネが否定しようとする。
だがジャランは聞いていなかった。
「まあ当然だよな。平民のお前らが、貴族であるオレ様を治すのは当然のことだ!」
とジャランが偉そうに言った。
フィオネの目が冷たくなる。
ジャランは立ち上がったあと、さらに続けた。
「だが治癒するだけでは、俺に対する忠義としては不十分だ。ふむ、そうだな――――今から俺がお前たちのパーティーに入ってやる。俺を仲間に加えて、ダンジョンの最下層を踏破しろ」
「は?」
「貴族である俺を加えてダンジョンをクリアできたとなったら、お前たちの評価もうなぎのぼりだ! 悪くない話だろ?」
エレクとキルティアは呆れている。
こいつ……
絶対まともに戦えないだろう。
うちのパーティーに寄生するつもりなんじゃないか?
フィオネは警戒した。
「オレがパーティーに入ってやるって言ってるんだ! もっと喜びの意を示せ! 愚図どもが!!」
とジャランが激怒した。
彼はずかずかと通路のほうへ歩き出す。
エレクが小声で相談してくる。
「ど、どうする? あんなやつをパーティーに入れて大丈夫か?」
するとキルティアが答えた。
「まあ……黙って付き合うしかないんじゃないですか? 相手は貴族ですし」
「いや、でもよ―――――」
「おい何してる!?」
エレクの言葉をかき消すように、ジャランが叫んだ。
「喋ってないで早く行くぞ! モタモタするな!」
とジャランがこちらを叱咤しながら、歩き去っていった。
もうジャランはパーティーに加入した気分らしい。
フィオネはため息をついた。
(まったく……相変わらずのジャランね)
そう心の中でつぶやいて、フィオネはジャランの後を追いかけた。
エレクとキルティアもついてくる。




