第1章20話:ジャランたちの視点
<ジャランたちの視点>
一方、そのころ。
ジャランたちは、ようやくダンジョンの入り口にたどり着いていた。
「はぁ……はぁ……」
気弱そうな魔法使いの男性が荒い息を吐いている。
彼の名前はロウだ。
身長172センチ。
黒髪。
灰色の瞳。
魔法使いのローブに身を包んでいる。
ロウは疲労困憊の様子だった。
なぜなら、ここまでの道中で何度も魔物と戦わされたからだ。
ジャランは足を怪我しているという理由で、ほとんど戦わなかった。
ロウとギルドマスターの2人で、魔物を倒してきたのである。
「ふン、ようやくダンジョンに着いたか」
とジャランが偉そうに言った。
彼は全く疲れていない様子だ。
当然である。
ほとんど何もしていないのだから。
「ジャラン様……少しは、あなたも戦っていただけませんか」
とギルドマスターが言った。
しかしジャランは鼻を鳴らして言い返す。
「は? 俺は足を怪我しているんだぞ。お前たちが俺のぶんまで頑張るのは当然だろうが」
「しかし……」
「だいたい文句ならこいつに言え。今はこいつの働きが、俺の働きみたいなもんだからな!」
ガッ!
とジャランはロウを蹴りつける。
ロウはジャランの専属の使用人である。
そのためロウはジャランに逆らえない。
それをいいことに、ジャランはロウを乱暴にこき使っているのだった。
「くっ……」
ロウはくちびるを噛んだ。
ジャランが言った。
「とっととダンジョンに入るぞ。おい使用人、お前が先頭だ。俺の盾として、命を張って俺を守れ」
「はい……」
とロウが返事をしてからダンジョンに入っていく。
「……」
彼の扱いを気の毒に思いながら、ギルドマスターも続いた。
そしてジャランも入っていく。
薄暗い通路。
松明の明かり。
石造りの迷宮。
途中、何度か魔物と遭遇した。
しかしそれらをロウとギルドマスターが討伐していく。
ジャランは後ろで腕を組んで眺めているだけだ。
「ふン。雑魚ばかりだな」
などと偉そうにコメントする。
ロウの中で、怒りと憎しみが少しずつ溜まっていた。
(なんで……俺ばかり、こんな目に……)
ロウは内心でうめく。
(俺がジャラン様の使用人になったのだって、ほとんど強制だ。俺はなりたくてなったんじゃない)
ジャランはロウと肩をぶつけたことがある。
肩をぶつけただけだ。
それが巨悪であり大罪だと主張したジャランは、ロウに使用人の立場を押し付けた。
使用人にならなければ処刑するという、めちゃくちゃな言い分だった。
(ジャラン様は俺を奴隷扱いしてるだけだ……)
ロウはジャランに散々いびられてきた。
理不尽な命令。
暴力。
侮辱。
もう限界だった。
日頃から蓄積したストレスが、憎しみへと変わり、彼の内側を渦巻いていた。
(絶対に許さない。殺してやる……今までの恨みを晴らしてやる……殺してやる……殺してやる……)
彼の目が殺意に染まっていく。




