第1章13話:集合と班分け
――――1時間後。
街の正門前に戦士たちが集まっていた。
モンスタースタンピードの討伐作戦に参加する戦士たちだ。
冒険者だけでなく衛兵団からも戦士が集まっているようだ。
総勢で70名ほどいるだろうか。
フィオネもその中にいた。
ギルドマスターが全員の前に立つ。
彼は大声で呼びかけた。
「諸君、モンスタースタンピードの制圧作戦に集まってくれたことを感謝する!」
冒険者たちと衛兵たちが静まり返る。
全員の視線がギルドマスターに集中した。
ギルドマスターは言った。
「まず状況を説明する。数百体以上のモンスターが南の森から、このクレトートの街を目指して侵攻中だ!」
一拍置いて、ギルドマスターが続ける。
「モンスタースタンピードの発生原因は【ナナブロスの森】にあるダンジョンだ。このダンジョンは魔物が際限なく発生するタイプのダンジョンであり、今まで誰にも発見されず放置されていたため、大量発生した魔物があふれ出したと思われる」
「未発見のダンジョンだと……」
「そんなものがあったのか」
冒険者たちが驚きの声を上げる。
ギルドマスターはさらに説明を続けた。
「ひとまずこのダンジョンを【ナナブロスダンジョン】と名付けることにした。あふれたモンスターの種類から察するに、このナナブロスダンジョンはおそらくDランクダンジョンだ。ダンジョンボスは最低でもD、最悪の場合Cランク相当のボスが出る可能性もある」
その言葉に冒険者や衛兵たちの顔色が変わる。
「Cランク……!?」
「まずいだろ、それは……」
Cランクの魔物といえば、一流の冒険者でも苦戦する相手だ。
ギルドマスターが言った。
「このモンスタースタンピードの制圧にあたって、諸君を二つの班に分ける。一つは【街を防衛する班】だ。街に押し寄せる魔物の群れを食い止めてもらう」
ギルドマスターがさらに一拍置いて、続けた。
「もう一つは【ダンジョンを攻略する班】だ。スタンピードの制圧には、親玉となるボスの討伐が必要だ。今回の場合、ダンジョンの最深部にいるダンジョンボスの討伐を目指してもらう」
ダンジョンボスを倒せばダンジョンが消滅する。
魔物の発生源を絶つことができるのだ。
「ダンジョン攻略班は少数精鋭でいく。メンバーは……」
ギルドマスターが何人かの名前を呼びあげていく。
その中にはフィオネの名前もあった。
「フィオネ。君もダンジョン攻略班だ。そこの2人とチームを組んでくれ」
フィオネは3人パーティーに入れられた。
男性が1人。
女性が1人。
そしてフィオネ。
以上の3名である。




