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会瀬

作者: 雨月時雨

「大森さん、雪子さん歌い始めましたよ」

「じゃあ呼びに行かないとね」

 ホールを中心に放射状に伸びている個室の一つのドアをノックする。

「誠一郎さん、今ホールで素敵な歌を歌っている方がいるんですが、一緒に聴きに行きませんか?」

「おぉ、聴きに行きたいですね」

「じゃあお連れしますね」

 そう言って車椅子に誠一郎さんを乗せると静かに部屋を出てホールに歩いていく。

 ホールに近づくと、歌が聞こえてきた。

「素敵な歌ですね」

 普段ニコニコと笑みを絶やさない誠一郎さんは、雪子さんの歌にますます笑みを深める。

 ホールに着くと、雪子さんはタオルを畳みながら昔の童謡を歌っている。

 そんな雪子さんを見て、誠一郎さんは車椅子を雪子さんの向かいの席まで押してくれと頼む。

 車椅子をそっと押して行き、雪子さんの向かいの席に誠一郎さんを連れて行くと、ストッパーをかけてから、後で迎えにきますねと言ってからそっとその場を離れた。

「誠一郎さん、幸せな顔してますね」

 先ほど声をかけてくれた同僚に話しかけられて二人をそっと見守る。

 どうやら誠一郎さんは雪子さんに話しかけているようだ。

「ここでもやっぱり二人は夫婦なんですね」

 中睦まじく笑っている二人の部屋にはお互いの写真がある。

 ここにやってきた時に撮ったもので、交換をしたらしい。

 その写真の隣には、まだ若くて二人の子供たちと一緒に撮った写真たちも飾られていて、毎晩寝る前に二人はお互い持っている写真に

「おやすみ」と言って眠るそうだ。

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