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【03:選択】
身体のことは、ずっと迷っていました。
“変えなければいけない”というのではなく、
“変えたい”と思えるかどうか、それを自分に問う時間が必要でした。
ある日、鏡の前で服を脱いだとき、
わたしは自分にこう問いかけました。
「これは、わたしの身体?」
答えは、静かな“NO”でした。
そしてそれが、すべての選択のはじまり。
診察を受け、ホルモン治療を経て、
手術の日を迎えたとき、
わたしは不安よりも、なぜか“静かな喜び”を感じていたのを覚えています。
ようやく、“わたしの身体”が戻ってくる――
そう思ったのです。