2/4
【02:出会い】
女装をはじめたとき、初めて心が静かになった気がした。
はじめてつけたリップは、手が震えるほど怖かったのに、
鏡の中に映った“誰か”が、あまりに穏やかだった。
その誰かに、わたしは「美由紀」と名前をつけた。
それは“演じるための名前”じゃなくて、
本当に“なりたい自分の名前”だった。
その後、いろんな出会いがありました。
傷つくことも、笑いあうことも、支えられることも。
でもなによりも、「わたしはここにいていい」と思える瞬間があったこと。
それが、わたしを少しずつ救ってくれた。