1.誕生
趣味で書いてみようと思います
色々と賛否かあるかもしれませんが含めて楽しんでさい。
意識が遠くなっていく中自分の中で生まれたのは後悔や苦しみではなかった。
もう少し、運動能力があれば・・・
もう少し、勉強ができて入れば・・・
もう少し、容姿が優れていれば・・・
そんな自分には足りない物、努力することを諦めて無い物ばかりを求める感情だった。
雨がアスファルトに当たる音が耳元でなり続けている
サイレンが付近に響き渡る中周りは騒々しい状況でも自分の足りない物を求める事しかできなかった。
「自殺じゃね?」
「まじー?」
そんな学生のやり取りが聞こえてくる。
「〇〇さん、声が聞こえますか?」
「・・・意識が不明の重体です」
救急隊だろうか。
何故、自殺した俺を助けるのだろうか。
助けてほしくない、そんな不満を心の中に抱えている内に意識が遠のいていく。
「まぶしいな・・・」
目を開けると激しい光が目に差し込んだ。
どこからか赤子の泣く声が聞こえる、部屋に響き渡る赤子の声は周りを不快にさせる事無く、
和やかな雰囲気に変えていた。
光が眩しいが、何時までたっても目がぼやけて前の人間の輪郭しか見えない。
・・・助けられたのか。
自殺すらまともにできない自分に嫌気がさす。
マイナスの感情に支配されている中、周りの声が入ってくる。
「*****フォール!」
「****」
「**********」
周囲が何か言っていることは分かる・・・だが耳に霞がかかったように聞きにくい。
瞬間、頬に水が伝った、生暖かい水が頬に数的ぽたぽたと落ちてきている
「フォール******」
「**」
部屋の中が、歓喜の雰囲気に包まれる。
ふと顔を|拭おうと自分の手を上げようとして気づいた。
自分の手が小さい事、さっきの赤子の泣き声が自分の口から出ているものだと・・
「だーあー」
部屋の中の視線が集まる。
・・・喋れない。
当然0歳児に喋れるはずもなかった、目も輪郭をとらえる程度でぼやけて見えない。
音だけはしっかりと聞こえるが声は聴きづらい・・・さらに日本人にはわからない言語で喋っている。
フォールとしきりに呼ばれているので、他の言葉かもしれないが名前なのだろうか。
・・・そういうことにした。
そこから1か月が過ぎ依然言語は全くもってわからないが、幾つか分かったことがある。
まず、自分の名前がフォールである事。
親が、母のサンと父のケンである事。
ヨーロッパ系の美男美女の顔立ちをしていて、文化レベルは中世ヨーロッパの程度だと言う事。
そして・・・魔法が存在する。
この世界の住人は困れば基本的に魔法で解決するらしい・・便利なことだ。
「フォール~****」
近寄らないでほしい・・・
おっさんの顔を近くで見ても何も嬉しくないし、何を言っているのか全く分からん。
目は20㎝くらい先までは見えるがそれ以上は、まだぼんやりとしか見えない。
首もそこまですわっていないので力があまり入らない。
そこからさらに3か月、首がすわり少し動けるようになってきた、目も見えるようになり
自分の母親と父親の見た目がすごく美男美女だったのにはものすごく驚いた。
「流石異世界転生だな・・特典の1つか?」
心の中の期待が高まった、前世で持たなかった才能に。
そこからさらに4か月やっとハイハイを習得し、動き回れるようになり家を見て回った
どうやら自分の家は兵士の家系ということも分かった、兵士としての階級は別に高くはない。
言葉に関して、すぐにわかるものでもなく日本人であることが枷となっているのか、
かなり習得が遅くいまだ単語が少しわかる程度だった。
そして生まれてから1年が過ぎ、ある程度この世界の事が分かり始めた。
単語を理解するのにいまだ時間がかかっているので、言葉は完璧にはわからないが
ここの世界はアルトフォームというらしい。
その世界の一つの国
宗教国家 レイフォン
宗教国家となっているが、特筆すべき点は1つの宗教に限らないと言った所だろうか。
この世界には魔法使いと言った存在がいるらしく世界でも最大で22人となっているらしい
最大と言葉を使った通り、今はその内の何人かは不在でありそれぞれの国が魔法使いを自国に取り入れ
る為に躍起になっているが簡単には見つからない。
その魔法使い1人1人にそれぞれを人類の救世主とする宗教が存在する。
この宗教国家レイフォンはその26の宗教の教皇が主体となって協力し国を運営している。
宗教同士で互いにぶつかることもないのは、それぞれの宗教の領が区切られているのもある。
区画が領で分けられ要所が白い壁に区切られ、その門ごとに通過する際は
名前と所属宗教や目的などが聞かれるため、利便性は悪い。
国と言っても各領ごとで別々の国の様な雰囲気を纏っている。
町並みも、信仰している宗教に属した町並みでそれぞれが全く違う雰囲気の建築になっている。
この歪な形の国で他国に害されない理由はやはり宗教が持つ権威からくるものがほとんどだろう。
そんな国の1つの町領である
チャリオット教皇領の4番町【ハルトレイ】
そこが俺が生まれた場所であるらしい、そこの一般神殿兵士が
父のケンの仕事という事だ。
仕事内容は、聞く限りだと見張りから神殿の警備、町の掃除、魔獣の盗伐、争いの仲介等
衛兵がやる仕事もやっているらしいが・・・
まぁ一般的な神殿騎士はそれが当たり前らしい。
この世界の火や水は、キラキラと赤や水色に光る石から出ていたり、魔術を詠唱して生成するらしい。
あの不思議な現象を目の当たりにして魔術は無いと言える異世界人はいない。
初めて目にする異常な光景に興奮するのは勿論だし、今すぐにでも魔術を習いたい衝動に駆られ、毎日
ベットの上で魔力を込める練習をしている。
魔力を込める練習と言っても込め方を習ったわけでも、知っている訳でもないので。
空中に手をかざして力む程度しかできていないし、何より理屈が分からない。
心の中でファイアーボールとか色々唱えてはいるが・・今は無理そうだ。
「うーあーご」
「***どうしたの?フォール」
魔術の練習をしているつい声に出てしまった。
そんな俺を心配そうに微笑みかけているのが。
母であるサンだ。
サンはいつも話しかけてくる。
と言っても話の大半は何となくでしか理解ができないが、時折サン自身の経験を俺に話してくれる。
サンは元々冒険者をしていたらしい、その途中で当時雑兵をしていた父のケンに盗賊から守って貰ったの
がきっかけで付き合うようになったとか。
こんな話をまだ1歳程度の息子に言って通じると思っているのだろうか。
いや思っていないだろう。
サンは普段は家事と育児をしていて、時折本を読むのが趣味なようだ。
母と父の関係は良好だ、良くも悪くも一般的な家庭と言った所だろう、一般的な教育はしてもらえると思う
そんな事を考えてからまた1年がたった。
足腰もこの1年でしっかりとしてきた俺は、家の中の本やこの世界の文化レベルなどを調べていた。
その成果もあり、言語もそこそこ分かるようになったが。
喋りはまだぎこちない。
2歳児にしては丁度良い具合かもしれないのでそこはメリットかもしれない。
調べていて分かったこともあった。
まず、よくある英雄譚的な書物だ。
本の文字は最初分からなかったので、サンに読み聞かせてもらいながら勉強した。
その成果もあり、本を一人でほとんど読めるレベルになっていた。
その英雄譚では、よくある魔王と勇者の物語だったのだが、注目する点は【魔王】だ。
魔王は異世界的な考えだと人間とは遠い見た目で、魔獣を従えているイメージだが。
この世界の魔王は、魔法使いが悪に落ちた際に魔王となるらしい。
その時々によって魔王の手下は宗教の人間である可能性が高い、今までの歴史の中で22の魔法使い全て
から魔王が生まれているので過去を掘り返してどうこう、みたいなのは特にないみたいだ。
お互い触れられたくない過去だから触らないでおきますって事だね。
もう一つ分かったことがある、それは人間以外の種族についてだ。
この世界には様々な種族が存在する。
耳賊【エルフ】 小族【ドワーフ】 混族【ミクシー】 獣賊【アニル】 羽族【ウイン】
この種族は基本的な種族で世界では2000近くの種族がいるが、主に人族と魔族でに分割されている。
魔族は魔力が濃い種族の事で各々に魔力機関が存在しているのが特徴、例えばウインと言った種族では
魔力機関は特徴的な大きな羽となっていて得意とする属性が生まれた場所によって変わり。
更には、その色によって得意とする魔術の系統が左右される。
かなり特殊な種族だがその分魔力濃度や魔力総量が多い。
魔力濃度・魔力総量などの部分は詳しくはよくわかっていないがその内分かるだろう。
この1年でこの世界の様々なことを学べた。
同時に前世では諦めていた、才能に期待が高まる。
もしかしたら、自分が魔法使いではないか?
もしかしたら、魔術がすごい才能があるんじゃないか?
もしかしたら、剣術に才能があるのかもしれない。
もしかしたら、貴族になれるかもしれない。
そんな期待が。
期待に胸を膨らませてから更に1年が経過した。
俺もすでに3歳の年になっている。
「フォール~どこかしら?」
こうして隠れて魔術所を読んでいるが・・・
どうやら魔術の才能は無いのかもしれない。
いや諦めるのは早い。
まだ魔術の本を読んでから3か月ほどしか経過していない。
「見つけた!」
「また本読んでるの~?」
「・・だめですか母さん?」
「だめじゃないわよ~もううちの子は可愛くて賢いわね!」
俺の母はかなりの親バカだと思う、何をしていても心配から始まり、少し成功すると髪の毛が無くなりそ
うな程頭を撫でてくる。
若い内に禿げたりするなんて御免だ。
「そろそろお昼寝しましょう?」
「嫌です」
「嫌じゃないの!ほら行きますよ~」
そう言った母はすぐフォールの事を持ち上げた。
軽々しくフォールは持ち上げられ、そのまま寝室へと連れていかれた。
そしてフォールは嫌々ながらも意識を闇の中へと落としていく。
結構書き直しました。