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町の最終日 - 特産物のおにぎり

さくらは、港町での最終日を迎え、特別なおにぎりを準備することに決めた。この町の特産物を詰め込んだ特製おにぎりだ。朝早くから、さくらは市場で新鮮な地元の食材を買い込み、キッチンカーでの準備を始めた。


キッチンカーの中は、さくらが選んだ色とりどりの具材で溢れていた。地元の特産品を使ったおにぎりのアイデアが次々と浮かんできた。彼女の今日のお面はうさぎだ。小さい子供も多く、狐のお面だと少し怖がられたためだ。さくらはお面をしっかりとつけ、料理の準備に取り掛かった。


「この町で過ごした時間を、おにぎりに込めて届けよう。」


さくらは心の中でそう誓いながら、手際よくおにぎりを握っていった。アジの焼き魚をほぐし、大葉と梅を混ぜたごはんで包んだもの、ゴマとごはんを混ぜ合わせたものを握り、上にアナゴの煮つけを乗せてのりで包んだもの、シラスと小松菜のおひたしと特製スパイスを具材にした特製おにぎりだ。特に前世の記憶を活かして、独自の味付けを施した料理は、彼女自身の成長の証でもあった。


午前中、港町の人々がキッチンカーに集まり始めた。彼女は一人一人に丁寧におにぎりを手渡しながら、感謝の気持ちを伝えた。


「ありがとう、さくらさん。あなたの料理は本当に素晴らしいです。」


「この町での最後の思い出に、このおにぎりを楽しみます。」


以前、狐のお面で泣かれてしまった女の子とお母さんも来てくれた。


「あれ?今日はうさぎさんだぁ!!」うれしそうに走ってキッチンカーへ並んでくれた。


「じゃあ、全部一つずつ頂けるかしら。」


「ありがとうございます。よかったらこちら、買っていただいた方へお渡ししているキャベツとトマトのつみれ汁です。」


「あら、どうもありがとう。」


町の人々は、さくらのおにぎりを手に、嬉しそうに笑顔を浮かべた。中にはその場で食べて感想を言ってくれる方もいて、さくらはお面の下で微笑みながら、その様子を見守っていた。


午後、特に仲良くなった中年男性が再び奥さんと一緒にキッチンカーにやって来た。


「さくらさん、今日が最後だなんて寂しいですね。でも、あなたのおにぎりを楽しみにしていました。」


さくらはおにぎりを手渡しながら、男性に感謝の気持ちを伝えた。


「この町で過ごした時間を忘れないでくださいね。またいつか、どこかでお会いしましょう。」


男性はおにぎりを大事そうに抱えながら、感動した表情で呟いた。


「あの、これは感謝のしるしです。キャベツとトマトのイワシのつみれ汁もどうぞ。」


さくらはつみれ汁を手渡しながら微笑んだ。男性は驚きつつも喜んで受け取り、感謝の言葉を返した。


男性の奥さんから手作りのおはぎを頂いた。


「よかったらこれ食べて下さい。あなたがこの町に来てからの主人は本当に楽しそうでした。本当にありがとう。」


夕方、さくらはキッチンカーを片付け、次の町へ向けての準備を始めた。お面を外し、今回の旅を振り返ると色んな人の笑顔や会話などが思い出せた。今回の旅もよかった、と心の中がほかほかした気持ちになった。そして、前世のレシピノートを見直しながら、次の目的地への期待感を抱いていた。次はどこに行こうかな。彼女の旅は続く。料理とお面を通じて、自己発見と成長を続ける冒険の旅。

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