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新たな旅路

レグと俺は森に飛び込み、追っ手から逃れた。

「助かった。ありがとう。」

レグに礼をいう。彼女がいなければあそこからの脱出は困難だっただろう。

「はいはい、これで協力関係は終了。あんたも自由にしていいわよ。私はもう行くから。」

「もう行くのか?」

「私、行かないといけないところがあるから。そのために脱出したの。」

「そうか...」

そのまま彼女と別れようとしてハッとする。ここ...どこだ?

周りは鬱蒼と木が生い茂り、ポケットをまさぐっても唯一の道標だった手紙もない。

おまけにあっても街の名前を知らないから辿り着きようがない。

「ちょっと待ってくれ!」

俺は慌てて彼女を呼び止める。

「俺も同行させてくれ。頼む!」

今ここでレグと別れてしまったらこのまま野垂れ死ぬ未来しか見えない。なんとか言い聞かせてついて行かせてもらわなければ。

「はぁ!?なんで私があんたと...」

「俺にはここがどこだかわからないんだ。このままここに取り残されると間違いなく俺は死ぬ!連れて行ってくれ!俺は魔法だって使える!少しは役に立つだろ?」

レグは少し考え、言う。

「まぁ、私が最初に脱出の話を持ちかけたんだし、このまま死なれてもすっきりしないし。いいわよ。」

レグはなんとか説得に応じてくれたようだ。一安心して息を吐く。

「まずは近くの大きな街に向かうわ。旅に向けて物資を調達しないと。」

そんなこんなで俺たちは旅を共にすることになった。

後にあんなことになるとは知らずに...


「へっ、もう逃げらんないぜ?」

「くっ...!」

俺たちは街へ行く途中、森での就寝中に五人ほどの盗賊団に襲われていた。感が鋭いレグでも流石に脱出してから休みなしで移動し続けていた分の疲労が出ていたようで、だいぶ近くまでの接近を許してしまい、逃げ道を塞がれてしまった。かくいう俺は、慣れない長旅のせいで疲労困憊である。

「女一人と子供一人で勝てるわけねーだろ。」

俺たちを囲む集団の中からリーダーらしき男がこちらに歩いてきた。

「素直にいうことを聞けば命だけは助けてやる。」

男はもう一歩近づき、こちらに手を伸ばす。

完全に油断しているな...

「<炎光(フラッシュ)>!」

「ぐわぁ!お前、魔法が使えたのか!」

炎光(フラッシュ)>は強い光を出すだけの技だが敵を怯ませられるし、何より手が熱くならない。もちろん、レグならば敵が怯んだ隙をついてリーダーとその取り巻きを全員叩いて気絶させることくらい造作もない。

「くそっ。なんだお前ら!なんでガキが魔法を使えんだ!?」

縄で縛られた盗賊達はこちらに叫んでいる。やけに俺が魔法を使うことは驚かれる。この世界の住民は何歳くらいから魔法が使えるようになるのだろうか。

「この盗賊達、結構役に立ちそうなもの結構持ってるぞ。これもらってさっさと立ち去ろう。」

盗賊の荷物を漁っていたレグに呼ばれる。

「おい待て、俺たちはどうなるんだ?縄のままここに置いていくってわけじゃあ...」

「勘がいいな。ほっとけばモンスターやお前らの同業者に襲われるだろ。行こう。」

何かを叫んでいる彼らを尻目に、俺たちはそこを立ちさった。


「街に入れない!?」

城塞都市フェーテ。人類がまだ魔王と戦っていた時代に、その勢力に対抗するべく作られた、周りを巨大な壁に囲まれたこの世界でも有数の大都市である。...らしい。そんな街の関所で俺たちは足止めを食らっていた。

「当たり前だ。人間の子供とそれを連れた獣人。おまけに自分の身分を言えないだとぉ!?どこからどう見ても怪しすぎる。わかったらさっさと帰れ!」

兵士は取りつく島もなく、俺たちは渋々関所から離れた。

「はあ...」

レグが手頃な岩に腰をかけ、ため息をつく。

「やっぱり獣人は入れてくれないか。ここの知り合いにコンタクトを取りたいんだけど、簡単じゃないね。」

やはり獣人は何かと差別されているようだ。人間では出せないようなあの瞬発力やパワーを持っているのに、なぜだろう。

「これからどうするんだ?プランはあるのか?」

もちろん、とレグが言う。

「もとより獣人だけじゃ関所をくぐれないからね。ワンチャンあんたがいればと思ったけど、案の定入れなかったから壁を登って街内に侵入する。」

レグが近くから見ると頂上が見えないような高い壁を指さす。

「この壁を登って侵入!?無茶だろ!見つかったらどうするんだ。」

レグがニマっと笑う。

「もちろん、最悪極刑だろうね。」

頭がクラクラしてきた。

そんな危険な橋を渡らなくてもどうにかして街に入れないものかと思案を巡らせていると、荷物を探っていた俺の頭に一つのアイディアがうかんだ。

「そうだ!」

「どうした?」

急に叫んだ俺の顔をレグが不思議そうに見る。

「そんなことしなくても、街に侵入する方法がある。」

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