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出会い1

「いててて・・・」


身体の鈍い痛みで目が覚めた。

タカから思いっきり殴られた後、そのまま寝てしまったらしい。


痛む全身をかばうようにして立ち上がり、洗面所へ行く。

鏡を見てみると、やっぱり昨日タカに殴られたり蹴られたりしたところがドス黒くアザになってしまっていた。

右目の周りなんか真っ黒くてまるでパンダだのようだ。


タカは朝になっても帰ってきていなかった。

たぶん又朝からスロットに行ってるんだろう。

今日も夜まで帰って来ない。

私はため息をついて、化粧を始める。


今日はホテルの清掃のバイトは休みだ。

だから昼からチャットレディーのバイトに入れる。

タカのいない時間がチャンス。

いっぱい稼がないと、私たちは生活していけないもの。


私は全身のアザをどうにかコンシーラーとファンデで目立たなくなるように隠した。

体とほっぺのアザはあまり目立たなくなったけど、目の周りの濃いアザだけは何度コンシーラーを重ねても、全く薄くならない。


「あーあ、もっとも目立つところが消えないなんて、今日はバイトできないよ・・・」


私はもう全て投げ出したくなってその場に寝転んだ。

だけど別に私の目の周りにアザがあっても、どうせチャットのお客さんには関係ないだろうと思いなおす。

だってお客さんは私のおっぱいや下半身にしか興味がないんだもん。

私の顔や心なんてどんなだって関係ないし、関心もないだろう。

そう思ったら、やっぱり仕事をする気になって、私はノロノロ起き上がってパソコンに向かった。


ノロノロと私はパソコンを操作して、「チャット☆ラブ☆エンジェル」に接続する。

ログインして、待機を始める。


いつもは現実の暗い私を忘れられるから、チャットに入ると高揚した気持ちなのに、今日は目の周りのアザのせいで何だか暗い気分。

やる気がちっとも出ない。

そのせいかいつもは5分くらい待機するとすぐお客さんが来るのに、今日は10分待っても30分待ってもお客は来なかった。


「やっぱり、このアザはひくよなぁ・・・」


独り言をつぶやいて、今日はもう仕事にならないと諦めようとした時に、

♪ピロリン~~♪

お客の入室を知らせるチャイム音が鳴った。


「こんにちわぁ♪」


私はいつもより10オクターブは高いぶりっこ声で挨拶をする。

だけど音声で挨拶は返って来ず、しばらくするとパソコンの黒い画面に



air>くうちゃん、こんにちは。



と文字が表示された。

airはお客のハンドルネームらしい。



「マイクはないの??」



air>ううん。あるんだけど、俺すげーあがるから。タイピングでチャットやらせてもらっていい??



チャットではマイクを使うお客が多いので、私はキーボードチャットはほとんど経験がない。

ちょっと私は戸惑った。



「もちろんいいよ。じゃぁ、私もキーボードで打ったほうがいいのかな??」



air>ううん。くうちゃんはマイクでしゃべって。くうちゃんの声聞きたいんだ。



何だか変わった客だ。

マイクがあるのにマイクを使わない。

しかも自分はキーボード、私はマイク。

何だか奇妙なチャットだ。



「あは。もちろん、私はマイクでOKだよ。私はキーボード打つの遅いし。」



air>ありがと。



「airさんは何歳ですか??」



air>俺は君から見たら親父かもしれない。親父じゃダメかな??



「えぇ~~、何歳??」



air>30歳



「全然親父じゃないじゃん~~」



正直親父と言われて、50歳くらいかと思った。

ここのチャットにはだいたい30代後半から50代の客が多い。

20代や30代の人はほとんど私はチャットしたことがない。

でも年齢が違ってもどうせ男なんてH目的しかないんだろうけど。





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