表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/57

さよならの決意6

 

その時、ふわっとした温かくて心地よいものが私の身体を包んだ。


「え・・・」


その温かいぬくもりが大翔さんだと私はしばらく気づかなかった。

私は思いっきり大翔さんに抱きしめられていた―――


何でいきなり大翔さんに抱きしめられているのだろう。

状況が全く把握できない。

夢でも見てるんだろうか。

こんないい夢なら大歓迎なのだけど。

私はぬくもりが消えないように目を閉じた。



「空良ちゃん・・・、俺は前から空良ちゃんの事を妹としてなんて見てないよ」



強く私を抱きしめながら大翔さんがつぶやくように言った。


“え・・・嘘・・・”


展開の早さに全くついていけない。



「なんで?」



もはや夢と現実の区別がつかなくなった私はそれしか言葉が出なかった。



「なんでって・・・俺は空良ちゃんが妹としてじゃなく、女として好きだから・・・」


「嘘!」


「嘘じゃないよ。たぶんチャットで見かけたときから、空良ちゃんの事が好きだったんだと思う」



大翔さんは私を抱きしめる腕に力をこめた。



「俺、必死に我慢したんだよ。必死に気持ち抑えようって・・・兄貴じゃ我慢できないのは俺の方だっていうの!」


「嘘・・・」


「この期に及んで嘘言ってどうするの!空良ちゃんがあんな事言うから、俺の結界破れちゃったじゃん」



私は大翔さんの身体を両手でぐっと押しやった。

大翔さんがビックリした顔で私を見る。

私は大翔さんの顔を見据えた。

ごまかされてる、嘘をつかれてる、そう思った。



「嘘!絶対嘘だ!!だって、私にいろいろ過去とか話してくれなかった・・・」


「嘘じゃないって!!だいたい言えるわけないよ。絶対空良ちゃん、誤解すると思ったし。それに空良ちゃんはDVとかで傷ついてると思ったから、俺の過去とか話して、空良ちゃんに重荷を背負わせたくなかったんだよ」



大翔さんは恥ずかしそうに言った。

顔は真っ赤に染まっている。


大翔るさんの優しさや気遣いは痛いほどにわかった。

だけど私はやっぱり寂しかった。



「私は大翔さんの過去とかつらいこと聞きたいよ!好きな人の重荷は背負いたいもん!」



又、涙がボロボロ出てくる。

大翔さんに私を頼って欲しかった。

私を必要として欲しかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ