出会いとDVの始まり
私とタカとの出会いは4年前の私が19歳の時だった。
何のあてもなく1人で街をぶらついていた私に声をかけてきたのがタカだった。
寒い1月の晴れた日だった。
「暇そうだね。寒いし何か食いに行こう」
背後から声がした。
振り返ると金髪のいかにもチャラい男。
でもその男を私は無視できなかった。
その男の目だったんだと思う。
なぜかわからないけど、目が離せない。無視できなかった。
一目ぼれとかじゃない。
それは不思議な感覚だった。
そんな出会いから、何となく毎日一緒にいるようになって、一緒に住むようになった。
甘いだけのおままごとみたいな毎日。
でもすごく楽しかった。
幸せだった。
でもそんな日は長く続かなかった。
元々フリーターで働く事が大嫌いなタカ。
決まった仕事もすぐ辞めてしまう。
同棲する前に決めた諸費用は全て折半という約束も段々破られるようになった。
会社を辞めたのが5社目になった頃、私はとうとう爆発した。
「ねぇ、タカ、一体どういうつもり!?」
マンガを読んでいたタカがだるそうに顔を上げる。
「何がだよ?いきなりでかい声出すなよ。ビックリすんだろ」
「何がじゃないよ!もう会社辞めたの5社目じゃん。何で3ヶ月も続かず辞めるわけ??」
「だって仕方ないじゃん。何か俺に合わないんだもん」
「みんな合わないと思っても生活の為に働くもんでしょ??私だってラブホテルの清掃のバイトなんてやりたくもないし、自分に合ってるなんて思ってないよ。でも生活の為にやってるんでしょ」
「お前は我慢できるかもしんないけど、俺は無理」
そう言って、タカは又マンガに視線を落とす。
「ちょっと!ふざけないでよ!生活費折半って約束だったじゃん!何で私がタカを食べさせないといけないわけ??それじゃヒモと一緒じゃん!!」
思わず出た言葉だった。
でもその瞬間タカはすごい形相で私を見た。
「・・・ふざけんな」
タカはすっと立ち上がったと思ったら、私の頬にすごい衝撃が走った。
殴られたと気づくまでに数秒かかった。
「てめぇ、なめんじゃねぇよ!」
その言葉を筆頭に私は思いっきりタカにボコボコにされた。
全身殴られ、蹴られた。
体中にアザができたし、目の回りも青アザ、頬も腫れて、しばらく外出ができなかった。
その日からタカは豹変した。
毎日のように私を殴るようになった。
私は黙って殴られるしかなかった。
私のラブホテルの清掃のバイト代金も平気で全額持ち出し、パチンコにはまるようになった。
お金がなくなると、消費者金融から借金もするようになった。
私はラブホテルの清掃のバイトの他に、バイトを2つも増やした。
そのバイトの合間にチャットレディも始めた。
毎日殴られ、そして働きっぱなしで、まさに私の現実は地獄になったのだ。