デート7
「わかった。じゃ、俺がくうちゃんの兄貴になるよ」
私はその言葉にビックリして、思わず顔を上げる。
目の前には微笑んでいるairさん。
「兄貴には頼りないかもしれないけどね。だけど話聞いたり、側にいることくらいはできるから。俺を頼りなさい!!」
そう言ってairさんは私の頭をくしゃくしゃ撫でる。
大きくて温かい手だ。
「・・・ありがと」
再び涙が復活する。
髪もボサボサ、顔も涙でメイクが落ちてグシャグシャ。
airさんはもう1回私の頭を撫でると、何かに気づいてどこかに駆けて行ってしまった。
2分後にまだ泣いていた私の目の前にairさんから差し出されたのは、大きい3段重ねのアイスクリームだった。
ストロベリー、チョコレート、バニラのアイスが大きく重なっていて、コーンから落ちそうなくらいだ。
私はそのアイスの迫力にビックリして、泣く事を忘れてしまう。
airさんはそんな私を見て、笑いながら、
「すごいだろ?」
と自慢する。
「甘いものを食うと幸せな気持ちになる!いっぱい食べなさい!!」
そしてairさんは強引に私にアイスを握らせた。
「俺は大人だからチョコミント!」
そう言って、airさんはもう片方の手に持っていたアイスを大きな口でほおばった。
airさんが子供みたいだよ。
私はアイスを一口ぺろりと舐めた。
甘くて、冷たくて、そしておいしかった。
それは確かに幸せの味がした。
冷たいんだけど、何か温かい味がしたんだ。
私はチラリとairさんを見た。
“ありがとう”
照れて言えない言葉を、心の中で何回もつぶやいた。