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デート3

「やっと笑った・・・」


ふいにairさんが真剣な顔で私を見つめて言った。


「え・・・?」


戸惑う私を尻目に、airさんはジェットコースター乗り場の側にあった売店でタオルを買ってくると、私に渡してくれた。

私は戸惑いつつ、髪の毛の水滴をタオルでぬぐう。

airさんもタオルで髪の毛を拭くと、近くのベンチに腰掛けた。

私もそっと隣に座る。



「くうちゃんがさっき笑って、本当にうれしかった」


「え・・・な、なんで?」


「だって会ってから一度もくうちゃんの笑顔を見たことなかったし。だから今日はビックリしたし、安心したよ。俺、くうちゃんは笑ったことがない子かと思ったもん。」


「確かにそうかも・・・」


「え?」


「確かに、私本音でここまでお腹痛くなるほど笑ったり、涙が出るほど笑ったことってなかったかもしれない」



そうだ・・・私はここまで笑ったことはなかった。

作り笑いじゃない、本当の笑顔はなかったような気がする。

そう思うと、私って本当に楽しくない毎日を昔から送ってるんだなぁって思う。

それってすごくさびしくて、空しくなる。


「そっか。でもくうちゃんは作り笑いじゃない本当に笑った顔の方がかわいいよ」


私の顔はたぶんすごく真っ赤だろう。

そんな私の顔を見てairさんが吹き出した。



「ひどいです!!笑うなんて~~からかわないで下さいっ!」


「ごめん、ごめん。でもからかってはいない。本当だよ。笑った方がすごくかわいい。笑って毎日を過ごせるようになれるといいな。笑う門には福来たるって言うじゃん」



そう言ってairさんは私の頭をくしゃっと撫でた。

私はちょっぴりドキドキする。



「よぉ~~し!せっかく来たんだし、いろいろ乗ろうぜ!」



airさんは立ち上がって駆け出した。

私もあわてて後を追う。



「どんどん乗るぞ」


「はい!」



お化け屋敷、ゴーカート、メリーゴーランド、コーヒーカップ・・・

そして再びジェットコースター。


airさんはどんどんいろんな乗り物に私を誘った。

すごいパワフルだ。

・・・っていうか、子供みたい。

はしゃいで、遊園地を走り回ってる。


「俺、ちょっとトイレ。くうちゃん、ここで待ってて」


遊園地内のほとんどの乗り物に一通り乗ると、airさんはそう言ってお手洗いに行った。

私は一息ついて近くのベンチに座る。


airさんといると楽しいし、落ち着く。

一緒にいるとどんどんairさんのいいところばかりが見えてくる。

airさんは何より優しい。

気を使ってないように、さりげなく気を使ってくれている。

本当に優しくて、いい人・・・


だけどairさんもタカのように最初だけ優しくて、後で豹変してしまうのだろうか。

私に暴言を吐いたり、暴力をふるうようになるのかもしれない。

男なんてみんなそんなものかもしれないな。



そんな事を考えていると、airさんが戻ってきた。





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