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逃亡2

ロータリーから少し離れたところに黒い自動車が停まっていた。



airさんはその車の鍵を開けると、


「これに乗ってちょっと待ってて。すぐ戻るから」


と言うと、駅のほうへ再び走って戻って行ってしまった。



私はちょっと不安になった。

初対面の男の人の車に乗るというのは、やっぱりちょっと怖い。

もしairさんが善人に見えて、すごく悪人だったら・・・


だけどもう家に戻ることはできない・・・

airさんを頼るしかないのだ。

私は覚悟を決めると、ゆっくり黒の車に乗り込んだ。


10分くらいでairさんは戻ってきた。


手に大きいビニール袋を下げている。

何か買い物をしてきたみたいだ。

もしかして悪い仲間を連れて数人で戻ってきて・・・という最悪なシナリオを少し考えていた私はほっとする。


airさんは運転席に乗ると、ビニール袋の中身を自分の膝の上に出した。


中身は、

包帯、

消毒薬、

解熱剤、

シップ

バンドエイド

ミネラルウォーターだった。



「あくまで応急処置だけど、ちょっとひどそうだからここで処置するね」



airさんはそう言うと、私の足にシップを貼って包帯を巻き始めた。



私の為に駅前のドラッグストアで買ってきてくれたんだ・・・

airさんが戻ってくるまでに、変な想像をして不安になった自分が恥ずかしくなった。


airさんは器用な手つきでシップをはって、消毒薬を塗り、包帯をゆるむことなくクルクルと上手に巻いた。

その手つきは慣れているように見えた。



「すごい・・・」



巻かれた包帯がきつくもなくゆるくもなく最適な状態に巻かれて、思わず言葉が漏れる。



そんなつぶやきを聞いたairさんはかすかに笑うと、


「・・・一応、元医者だからね」


と自嘲気味に言った。


その様子からairさんはその事は触れられたくないんだなぁ・・・と私は思った。



あっというまに私の処置は済んだ。



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