逃げる勇気5
私は涙がボロボロ出て、鼻水も出てるのにもかまわずにパソコンの画面を見た。
パソコン画面には、
>airさんが入室いたしました。
と表示されていた。
「・・・もしかしてairさん・・・?」
声が震えた。
airさんの声は聞いた事なかった。
今までairさんはキーボードの文字チャットだったから、声を聞くのは初めてだった。
「うん。何だか切羽詰った感じだから、キーボードじゃ時間が取られるから、マイクつけたんだ」
やっぱりairさんはわかってくれたんだ。
SOSが通じたんだ。
再び涙が溢れる。
「くうちゃん、大丈夫?」
ボロボロ泣いている私は全然大丈夫そうに見えないかもしれない。
私は何度も涙をぬぐいながら、必死でうなずく。
言葉にならない。
「全然大丈夫そうに見えないよ。顔もアザだらけだし」
それだけ言うとairさんは黙ってしまった。
数秒の沈黙の後、
「ねぇ、くうちゃん、このままそこにいたい?それとも勇気を持って飛び出す??」
airさんも覚悟を決めたような真剣な声で言った。
「・・・・・・飛び出したいっ!!」
すごくかすかな小さい声だったけど、私は力強くそう言った。
もう現実から逃避するのは嫌だ!
殴られるのも、蹴られるのも嫌だ!!
もう私はここから逃げ出したい!飛び出したいんだ!
「airさん、もう私は飛び出したい!逃げ出したい!!もうこんな恐怖を味わうのは嫌なの!!助けて!」
私は今度は大きな声でairさんに言ったんだ。