逃げる勇気4
全身の鋭い痛みで目が覚めた。
どうやら意識を失っていたらしいと気づく。
どのくらい意識を失っていたのだろう・・・
体を少し動かすたびに鋭い痛みが全身に走る。
「痛っ!」
体の痛烈な痛みに耐えながら、私は何とか上体を起こした。
“そういえばタカは・・・!?”
ハッとして、タカがいるか視線だけ動かして探した。
意識が戻ったとわかったら、又殴られるかもしれない。
再び恐怖が走り、鼓動がバクバク早くなった。
だけど部屋には誰もいる気配はしなかった。
「タカ・・・」
念の為に名前をそっと呼んでみる。
・・・何の反応もなかった。
私はほっとして息をついた。
ほっとしたら、又痛みがじわじわと全身に広がる。
鼻に違和感を感じて、鼻を触ると鼻血が大量に出ていた。
どうやら鼻の骨は折れていないみたいだけど・・・
口の中も殴られた拍子に切ったみたいで、鉄臭い味が口中に広がっていた。
今私が抱いてるのは恐怖。
いずれ又タカはこの部屋に戻ってくるだろう・・・
又こんなふうに殴られたり、蹴られたりするの?
又恐怖を感じないといけないの?
もう耐えられなかった―――
逃げたい。抜け出したい。
誰かに助けを求めたい・・・
でも誰に助けを求めたらいい・・・?
その時に私の視線はある1点で止まった。
“パソコン”
テーブルの上に置かれたノートパソコン。
私はほぼ無意識に体の痛さにもかまわず立ち上がって、脚をひきずりながらパソコンの前に向かった。
鼻血を袖でぬぐいながらマウスを操作して、何かに操られるように「チャット☆ラブ☆エンジェル」の画面を開く。
そしてログインして待機画面にすると、待機メッセージに、
“助けて”と打ち込んだ。
それから私は力尽きたようにその場にへたりこんだ。