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喪失感

それからairさんは私のチャットルームには姿を現さなくなった。



私は相変わらずお金の為にチャットレディーを続けている。

だけど以前のようにチャットにログインする事で、現実を忘れる事はできなくなってしまった。

チャットレディーの自分は本当の自分じゃない。

ただ現実から逃げているだけ・・・と思うと、チャットレディーの自分も嫌になってしまうのだ。


airさんに言われた事が頭から離れない。

『逃げるのも、助けを求めるのも勇気』

『強くなって』


言葉が鮮明に頭の中でぐるぐる回る。

だって勇気なんて持てない。

怖い。

助けなんて求められない。

誰に求めれればいいの?

強くなんかなれない。

私の過去が全てを縛ろうとする。



タカはここ数日家には帰ってこなくなっていた。

帰ってこないほうがいいと思うのに、いつまでも別れられないでいる自分が又情けなくなる。



私は仕事中でも歩いてる時でもどんな時でもairさんの事が頭から離れなかった。

airさんの事がというより、airさんの言葉にといっていいかもしれない。

airさんに言われた一言一言がすごく心に残っている。

かつて私の事をここまで心配したり、いろいろ言ってくれる人はいなかった。

私にとって自分以外の人間、すなわち他人は、自分を傷つけるだけの存在だったんだ。


だけどairさんだけは違った。


顔も見たこともなし、声も聞いたこともない。

それなのにairさんは私の心の深い部分まで入ってきた。

私の苦しみを見抜いている。

何で私の心にこんな深い足跡を残したんだろう。


だけどもうそのairさんとはもう話したり、接する事もないんだろう・・・

もうairさんは私のチャットルームには姿を現さないって言ったんだから。

airさんがチャットルームに来ない限り、私たちは交わる事もない。

だって私はairさんの住所も電話番号もメルアド、本名ですら知らない。

そう考えるとなぜか私の心はチクチクするのだった。

何かとてつもない大事なものをどこかに置き忘れたような喪失感を感じる。





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