開く心2
5分くらい待機すると、
♪ピロリン♪
私のチャットルームにお客が入ってきたチャイムの音がする。
笑顔で
「こんばんわぁ」
と、言った瞬間、パソコンの黒い画面に浮き上がる白い文字。
air>こんばんわ。
笑顔が固まる。
air>昨日はごめん。あやまりたかった。
「・・・いいですよ、別に。こちらこそ自分からログアウトしてしまってすみませんでした。」
air>それは全然いいよ。こっちが悪かったんだしさ。
「・・・・・・」
それきり会話が途絶えた。
私はチャットをしたい気持ちは全然なかったし、airさんも何を話したらいいかわからなかったんだろうと思う。
長い沈黙が続く。
だけどこの長い沈黙に耐えられなくなったのは私だった。
「ねぇ、airさん。私とチャットしてても面白く無いでしょ?さっきからずっと私全くしゃべってないしさ。airさんはお金を払って私とチャットしてるわけだから、こんなんじゃつまらないし、お金ももったいないよ。」
暗に―――
チャットを止めたい。
チャットをairさんからログアウトしてくれと伝えたつもりだった。
air>俺は君と楽しいチャットをしようとは思ってないんだ。ごめん。黙ってるのは話したい内容を頭の中で整理してるからなんだ。
心臓がバクバクいいはじめた。
やっぱりairさんは私の深い現実の闇に踏み込んでくるつもりらしい。