「ワクチンを接種したくない人は接種しなくても良い」という言葉の意味。
と、タイトルで「接種したくない人はしなくて良い」という看板を掲げておいて何ですが。私自身は基本的に「ワクチンを接種したくない人は接種しなくても良い、だけどできることなら接種してほしい」というスタンスです。
ただ、その本題に入る前に。まずは政府の、新型コロナワクチンに関する基本方針から、必要な部分だけ引用したいと思います。
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新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(ワクチン部分抜粋)(令和3年7月8日)
予防接種
政府、都道府県及び市町村は、以下のように新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種を行うものとする。
1.新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種目的は、新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすことであること。
(省略)
6.予防接種は最終的には個人の判断で接種されるものであることから、予防接種に当たっては、リスクとベネフィットを総合的に勘案し接種の判断ができる情報を提供することが必要であること。その上で、政府は、国民に対して、ワクチンの安全性及び有効性についての情報を提供するなど、的確で丁寧なコミュニケーション等を進め、幅広く予防接種への理解を得るとともに、国民が自らの意思で接種の判断を行うことができるよう取り組むこと。
(省略)
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……ちょっと豪快に省略してしまいましたが。全文が気になる人は後書きに記しているので、そちらを参照願います。
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あと一つ、本題に入る前に言っておきたいのですが。私は小さな会社に籍を置きながら、結構な大企業に派遣されている立場です。で、そうですね。大きい企業ですからね、新聞に載るレベルの、それなりに大きな不祥事が発生したりすることもありました。
……でもね、不祥事を起こした会社だから信用するのは間違っているだとか、しょせん大企業は金儲けのことしか考えていないとか、そんなことは思いません。それが普通だと思っています。
誰だって、仕事は真面目にやるじゃないですか。で、その中にはこう、組織のしがらみとか前例だとか、色々な枷もある。なんというか、これは微妙だなあと思いながらもそれに従ったり、たまに反発したりしながら、それでも普段は真面目にコツコツと働いている。みんな、そんなもんじゃないですか。
――それ、政府も政治家も米国の大企業もベンチャー企業も、みんな一緒だと思うのです。
不祥事を起こしたこともある企業ですし、中で働いているといろんなことに触れることだってあります。でもね、そんなことは承知の上で、私は自分の所属している企業を信用しています。
……まあ、そうですね。それは悪い意味で「大人」なのかも知れません。だから、政府には政府の、大企業には大企業の考えがあって動いているだけで、それを信用するのは愚かだと言われれば、そうなのかも知れません。
ただ、私は私の意思で情報にあたり、調べて、考えをまとめて主張しています。例え信用できる情報元でも、その情報に違和感を感じれば当然のように疑いますし、そういった判断を、自分の主観で行います。
政府や企業の言うことだから無条件に正しいなんて言うつもりはありません。ただ、私は自分が正しいと思うことを、そう信じて主張する、ただそれだけのことをしているつもりです。
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ちなみに。「ハンロンの剃刀」という、(中二的に)とてもカッコイイ響きの言葉がありまして。
「無能で十分説明されることに悪意を見出すな」
「この世界において、誤解や怠慢は、策略や悪意よりも、より多くの混乱を生む。いずれにせよ、後者は(前者に比べれば)ずっと少ない、ということは確かだ」
「ジャーナリストの多くが、政府による陰謀論に陥ってしまっている。だが、素直に失敗論として報じた方がより正確な仕事であろう」
(wikipedia「ハンロンの剃刀」より引用)
まあ、心の片隅にでも入れておいた方がいい言葉かなと、個人的には思います。
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……と、ようやく長い前置きが終わったところで。ここからが本題ですが。
私は「ワクチン接種は個人の自由」だと思っています。そしてその「ワクチン接種の自由」は、感染拡大の防止という「社会の要請」よりも重んじられるべきだとも思っています。
そしてそれは、今だけの話ではありません。
今年ワクチンを接種したからといって、来年以降も接種しなくてはいけないなんてことはありません。そんなことは、あってはいけないことだと思います。
新型コロナワクチンは、今後もずっと、接種は自由であるべきだと思います。
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ワクチンには感染を予防する効果と発症や重症化を予防する効果があります。現時点ではその効果がどのくらい継続するのか、また変異等にどのくらい対応するのか、明確になっていません。ですが、全体的な傾向として、感染を予防する効果の方は減衰しやすく、発症や重症化を予防する効果は減衰しにくいという傾向は出ていると言っていいと思います。
つまり、ワクチンを接種してから時間が経過したりウイルスの変異によってその効果が落ちて感染しやすくなっても、発症や重症化を予防する効果はほとんど落ちない、そんな可能性も十分にあるはずです。少なくとも、その可能性を現時点で否定するのは難しいと思います。
新型コロナウイルス感染症が無症状でも人に感染させることがある以上、感染予防効果が薄れれば他者に感染させる可能性が出てくるのは確かだと思います。
なので、医療関係者や高齢者施設等の従業員のような他者に感染させることを警戒しないといけないような人は、高い感染予防効果を得るために、もう一回、追加で接種することもあるかと思います。
ですが、ワクチンにそこまで高い効果を求めていない人もいると思います。周りの人たちがワクチン接種を済ませているのであればそこまで高い効果は必要ではないというのも考え方の一つだと思います。仮に自分が感染していたとしても、相手の方で防御してくれると期待できるのであれば、それで十分な場合も多いでしょう。
自分が重症化しなければいい、ワクチンでパンデミックをどうこうするつもりはないというのも、それはそれで一つの考え方です。3密回避やマスク等の感染症対策に協力しているのなら、非難されるいわれも無いと思います。
とはいえ、軽症者でも結構えげつない後遺症はありますし、徹底的に防御するのも悪くはないと思います。そこは、個人の自由でもいいとは思います。
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接種したくなかったら接種しなくていい。それは、何も今年だけに限った話では無いはずです。今年は接種した、でも来年はできれば接種したくない、そう思って接種してもいいし、取り合えず今年は接種して、来年以降はまたその時に考えてもいいと思います。接種するのは自由って、そう言う意味だと思います。少なくとも、生涯ワクチンを接種し続けるかを今決めろとか、そういうことを言っているわけではないはずです。
もしかしたら来年以降は、接種が必要でも、ワクチンに選択の幅があるかも知れません。ファイザー/モデルナよりも副反応の穏やかな(そのかわりに多分感染予防効果の低い)ワクチンを選べるかも知れません。そうですね、もしそうなったら、私はきっと副反応の穏やかなワクチンを選ぶと思います。
1回(2回ですが)接種すればいいと思ってたのにもう一回接種券が送られてきた、ふざけるなと、来年以降にそう思うかも知れません。その時は、最大に文句を言って、改めてどうするか考えればいい。言論の自由もワクチン接種の自由も、ちゃんと保証されると思います。
すでに接種券を受け取った人は知っていると思いますが、接種するのはどんなワクチンなのか、そのワクチンにはどんな効果や副反応があるか、そういったことが書かれた説明書が、接種券と一緒に同封されてきます。
政府は先に挙げた基本方針で「国民に対して、ワクチンの安全性及び有効性についての情報を提供する」と宣言しています。だから、もし万が一、今回のワクチンを接種したことが引き金になって次もワクチンを接種しないといけないような事態になるのなら、そのことは説明書に書かれるはずです。
そして、今回のワクチン接種が引き金になって将来悪影響が出てくる可能性というのは、まあこれは主観ですが、一部のなろうエッセイやSNSで言われているほど高くないと思います。
新型コロナワクチンは人類を滅亡させるような正体不明の物質ではないし、新型コロナウイルスも人類を滅亡に導くような正体不明の奇病ではありません。ワクチンが行き渡って治療法(治療薬や医療体制)が確立すれば、そこまで恐れなくても良くなる可能性も十分にある、その程度の病気のはずです。
……まあ、未来に関しては「可能性が高い」としか言えないのですけどね。
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新型コロナウイルス感染症は新しい病気で未来に未知の要素が混じるのはその通りです。ですが、今接種しているワクチンは、決して適当に作られたワクチンではありません。ちゃんと安全性や有効性を検討して、手順を踏んで開発されたワクチンです。そして、不利な条件も隠さずに公表された、透明性の高いワクチンでもあります。
だから、ワクチンの接種券なり予防接種の案内が届くなりしたら、その都度、一緒に送られてくるであろう情報を見て、考えればいいのです。そこでわからないことがあれば、その都度自分で調べるなり、信頼できる人に聞けばいいのです。
個人的な推測を言わせてもらえば、今回接種したら次回も接種しないといけないなんてことには、まずならないと思います。……まあ、接種しないことで免疫が弱くなる(もしくは無くなる)ことはあるとは思いますが。でもそれって、今回接種することによるデメリットとは違いますよね。
もちろん、定期的に接種することで免疫を維持できることがわかれば、今後も定期的に接種することは可能だと思います。ですが、ワクチンを接種するかしないかは個人の自由です。それは今回だけでない、次回以降も、毎回そうなるはずです。
今回接種したからといって、次回以降は接種しないという選択肢が奪われる可能性は極めて低いはずですし、例え接種しなくても、今年接種したワクチンの効果が部分的にでも残り続けて身を守ってくれる可能性だって十分にあるはずです。
……その結果、もしかすると俗に言う「集団免疫」は諦めないといけないかも知れませんが。仮に一度、ワクチンの接種で集団免疫が成立したとしても、その次の年にはワクチンの接種率が下がって集団免疫は失われるかも知れませんから。
それでも私は、ワクチンの接種は個人の自由であるべきだと、そう強く言いたいと思います。
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冒頭で述べましたが、私は基本的に「ワクチンを接種したくない人は接種しなくても良い、だけどできることなら接種してほしい」という考えの人です。だから、この文章を見た人も、出来ることなら接種して欲しいと思っています。
それでも、その時々で自分で判断をして接種すべきだと思っています。接種するのかしないのか、どちらが正しいと言うつもりはありません。ただ、どんな理由でもいいから「自分の意思で」接種するかしないかを決めるのが大切だと思っています。
政府は、判断に必要な情報を常に提供してくれます。私から見れば、十分に信用できる情報を提供してくれているように見えますが、それを信用しないのも個人の自由です。そして、政府の情報を信用しないからと言ってその人を責めることはできないと思います。
年齢、職業、そういったもので、ワクチンの価値も様々だと思います。ワクチンを接種するメリットが感じられない人もいると思います。そういう人が、自分の意思で、社会のためと接種するのも良いと思います。
でも、社会のために自分の意思を犠牲にして接種するのは違うと思います。
接種率なんて知らない、副反応が強く出る薬なんて接種したくないというのも一つの意思です。1回(2回)なら良いけど何回もは嫌だとか、色々と意見もあると思います。若い人は(感染しない訳じゃないし後遺症の問題もありますが)死亡率が低い上にワクチンによる副反応が出やすいというのなら、それを毎年接種しないといけないなんて言われたら嫌だと言うのもわかります。
でもね、先のことは先のことなんですよ。今考えるべきなのは、今接種をすべきかどうか、それだけでいいと思います。
何をどうしたって、先のことなんてわかりません。でも、この先もきっと接種するかどうかは自由です。突如として政府が豹変して「接種の自由」を奪ったりはしないと思います。その位は政府を信用しても良いのかなと。
なら、今は何か自分にとって最善か、納得できるまで考えて決断すれば良いと思うのですが、どうでしょうか?
この文章が、誰かの納得の糧になるといいなと、そんなことを思いつつ。
以下に政府の、新型コロナワクチンに関する基本方針を引用します。
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(ワクチン部分抜粋)(令和3年7月8日)
予防接種
政府、都道府県及び市町村は、以下のように新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種を行うものとする。
1.新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種目的は、新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすことであること。
2.関係機関と連携し、迅速にワクチンの開発等を進めるとともに、承認申請された際には審査を行った上で、安全性及び有効性を確認し、できるだけ早期の実用化、国民への供給を目指すこと。
3.予防接種については、予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律(令和2年法律第75号)による改正後の予防接種法に基づく臨時接種の特例として、厚生労働大臣の指示のもと、都道府県の協力により市町村において実施すること。
4.予防接種の実施体制や接種順位等については、令和3年2月9日の「ワクチン接種について」を踏まえ接種を円滑かつ効率的に実施する観点に立って行うこと。
5.予防接種により健康被害が生じた場合の救済措置や副反応疑い報告等については、予防接種法の現行の規定を適用し適切に実施すること。
6.予防接種は最終的には個人の判断で接種されるものであることから、予防接種に当たっては、リスクとベネフィットを総合的に勘案し接種の判断ができる情報を提供することが必要であること。その上で、政府は、国民に対して、ワクチンの安全性及び有効性についての情報を提供するなど、的確で丁寧なコミュニケーション等を進め、幅広く予防接種への理解を得るとともに、国民が自らの意思で接種の判断を行うことができるよう取り組むこと。
7.このような原則の下、政府は、各地方公共団体の接種会場に加え自衛隊大規模接種センターも活用した接種を実施しつつ、職域(大学等を含む)による接種を実施するとともに、地域接種・職域接種のいずれにもつながりにくい者のワクチン接種を推進すること。加えて、接種を実施する医療機関、医療関係者の確保に向けて、必要な取組を総動員し、ワクチン接種の円滑化・加速化を進めること。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine_policy.html