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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た3  作者: 椎家 友妻
 第一話 新たな住人?
9/73

5 彼女がここに来た理由

 よほどお腹がすいていたのか、彼女は俺があげたニューハーフのケーキを四切れともペロリと平らげた。

そしてその後また三つ指をついて俺に頭を下げ、

 「ごちそうさまでした」

 と言った。

か細くて弱々しいけど、透き通った綺麗(きれい)な声だった。

 それにしても彼女は何者なんだろう?

どう見ても地元の人には見えないし、そもそも何でメイド服姿なのか皆目(かいもく)見当もつかない。

なので俺はその辺の事を聞いてみる事にした。

 「おそまつさまでした。ところで、この辺じゃあ見かけない顔だけど、何処(どこ)から来たの?」

 俺の問いかけに対して彼女は顔を上げ、か細い声で答えた。

 「あの、京都の方から参りました」

 「へぇ、はるばる京都から。一体何の用事で?」

 「え~と、ある方へ言伝(ことづて)を・・・・・・」

 「ふぅん、そうなんだ。で、そのある方の所へは行けたの?」

 「それが、すっかり道に迷ってしまって・・・・・・」

 「なるほど、それでさっき泣いていたのか」

 「お恥ずかしいです・・・・・・」

 「いや、全然そんな事ないんだけど、その言伝を伝える相手っていうのは誰なの?」

 俺がそう(たず)ねると、彼女は俺の目をまっすぐに見据(みす)え、ハッキリとした口調でこう言った。

 「沢凪荘というアパートに住む、伊能沙(いのうさ)()様という方です」


 という訳で俺は、()()さんを(たず)ねてきたという謎のメイド少女を自転車の後ろに乗せ、(さわ)(なぎ)(そう)に向かってペダルをこいだ。

 沢凪荘へ向かう途中、彼女は沙穂さんの事に関して口を開く事はなかった。

元々口数が少ないのか、それとも極度の人見知りなのかはまだ分からない。

そんな中で分かった事は、彼女の名前は水森(みなもり)小宵(こよい)といい、歳は十四歳で、京都にある大富豪の屋敷でメイドをしているという事だけだった。

 そういえば沙穂さんも何処(どこ)ぞの屋敷で以前メイドをしていたらしいけど、もしかしてこの子の知り合いなんだろうか?

ま、その辺の事も沙穂さんに話を聞けば分かるだろう。

 そう思いながら、俺は沢凪荘へ自転車を走らせた。



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