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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た3  作者: 椎家 友妻
おまけドラマ 涼、またもや
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2 南野響、荒ぶる

 俺は屋上のフェンス(ぎわ)に追い詰められ、そのすぐ目の前で南野(みなみの)先輩が怒り心頭の顔で俺の胸ぐらを(つか)んでいる。

そしてそんな南野先輩は、今にも俺に(なぐ)りかかりそうな勢いでこう言った。

 「やいコラテメェ!まさかこの学校の生徒だったとはな!

この前はよくも人の彼女を横取りしようとしやがったな!」

 それに対して俺は、半泣きになりながらこう返す。

 「ひぃいっ!すみません!でもこの前のアレは誤解なんです!

俺は田宮(たみや)先輩を横取りしようとしたんじゃありません!」

 しかしそんな俺の言葉を信じてくれる様子もなく、南野先輩は俺の胸ぐらをガックンガックン()らしながら続けた。

 「嘘を言うな!お前はあの時涼(すず)()と一緒にファミレスから出てきて、

その涼美を(かつ)いで連れ去ろうとしてたじゃねぇか!」

 「それも誤解なんですって!あれは物凄く色々な事情があったんですよ!

だぁあっ!何て説明したらいいのかなぁ!」

 「下手な言い訳しようとするんじゃねぇよ!

お前が涼美を連れ去ろうとしたのは(まぎ)れもない事実じゃねぇか!」

 「それはそうなんですけど!そこに(いた)るまでに何とも説明しにくい色々な事があったんですよ!」

 「要するに俺の知らないところで涼美とデートしたって事だろ!」

 「違います!確かにファミレスで一緒にご飯は食べましたけども!」

 「それは充分テートって言えるだろ!」

 「そうじゃないんですよ!俺があの時一緒に食事したのは、

田宮先輩だけど田宮先輩じゃないような・・・・とにかく違う人物なんです!」

 「はあぁっ⁉何を訳の分かんねぇ事言ってんだよ⁉下手な言い訳も大概(たいがい)にしろ!」

 「だぁあっ!もぉぅっ!」

 一体どうすりゃいいってんだよ⁉

この前の美鈴(みすず)の時もそうだったけど、田宮先輩の人格がいきなり九歳の(すず)ちゃんに変わったなんて、説明して信じてもらえるのか⁉

それを垣間見(かいまみ)た俺でさえ半信半疑(はんしんはんぎ)だってのに、それを口で説明したって信じてもらえる訳ねぇだろ!

 ん?でも待てよ?

この人は田宮先輩の彼氏な訳だから、彼女のそういう特殊な性質も知ってるんじゃないのか?

もし知っていたら、俺の説明にも納得してもらえるはず!

・・・・・・でももし知らなかったらどうなる?

俺は嘘つき呼ばわりされたあげく、この後益々(ますます)ひどい目にあわされるんじゃないのか?

そ、そんなの嫌だ!

 なので俺は、とりあえずこの状況から(のが)れる為にこう言った。

 「と、とにかくですね!そんなに俺の言う事が信じられないなら、田宮先輩に直接聞いてもらえば分かりますよ!俺と田宮先輩がデートした事があるのかどうか!」

 「馬鹿野郎!そんな事聞ける訳ないだろ!」

 「何でですか⁉それが一番手っ取り早いでしょ!」

 「だってそんな事聞いて本当にお前と涼美がデートしてたって分かったら、俺が傷つくだろ!」

 「ええっ⁉」

 この人、意外と気が小さいんだな。

普段も田宮先輩の尻に()かれてるんだろうか?

 と思っていると、南野先輩は右の(こぶし)を振り上げてこう叫んだ。

 「とにかくお前の事は絶対に許せねぇ!俺がここでぶちのめしてやる!」

 「そ、そんなムチャクチャな!」

 俺はそう言ったが、南野先輩は構わず俺の顔面めがけて右の拳を振り下ろす!

なので俺は目をつむって歯を食いしばった!

と、その時!


 「やめなさい!」



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