10 よみがえった二人
俺の両足首が何かに掴まれ、俺はその場から動けなくなった。
「ん?何だ?」
そう言って俺は自分の足元を見た。
すると、何と、
地面にはいつくばった岩山店長と鏡先生が、俺の足首を片方ずつ掴んでいたのだ。
「ぎゃああああっ⁉」
思わず悲鳴を上げる俺!ギャーッ!
岩山店長と鏡先生が俺の足首を掴んでいる!
岩山店長と鏡先生が俺の足首を掴んでいる!
岩山店長と鏡先生が俺の足首を掴んでいるぅっ!
しかも二人の顔は殴り合ったせいでボッコボコに腫れあがっており、
その様はまるでホモとオカマのゾンビのようだった!
そんな中岩山店長は、本当にゾンビみたいなおどろおどろしい口調でこう言った。
「聖吾くぅ~ん、私と、私と結婚して・・・・・・」
「ぎゃあああっ!」
そして鏡先生も同じような声色でこう続ける。
「稲橋ぃっ、先生と、先生と結婚しよう・・・・・・」
「ぎょわあああっ!」
怖い!怖すぎる!
何なのコレ⁉
最後の最後に何なのこの展開⁉
恐怖のあまりにパニックに陥る俺。
そして咄嗟にこう思った。
よし!この二人を射殺しよう!
だがあいにく俺は拳銃を持ち合わせていなかった。
非常に残念だった。
とにかく一刻も早くこの場から逃げねぇと!
俺は何とか二人の手を振りほどいてこの場から逃げ出そうとした!
しかし腕っぷしの強い二人がガッシリ足首を掴んでいるので動けない!
そうこうしているうちに俺は体のバランスを崩し、顔から地面に倒れ込んだ!
「ぶふぅっ!」
上半身を起こして鼻をさする俺。
本当に、何で最後の最後に俺だけこんな目にあうんだよ?
と思いながら泣きそうになっていると、背後から物凄くドロドロしたオーラを感じ、
恐る恐る後ろに振り向くと、
もはやゾンビとしか表現のしようがない岩山店長と鏡先生が、
俺に迫って来ていた!
「聖吾くぅ~ん、愛してるぅ~ん♡」
「稲橋!先生と愛し合おう!」
「た、た、助けてぇえええっ!」
俺はこの時、人生最大の恐怖を味わっていた。
その怖さといったら、以前樽山組の屋敷に乗り込んだ時の比じゃなかった。
だから必死に叫んだ。
心の底から助けを求めた。
しかし、
誰も助けに来ては、
くれなかった。
そんな中目の前の二人は、容赦なく俺に迫って来る。
俺は逃げる事も出来ない。
助けも来ない。
やめてくれ。
こっちに来るな。
マジで。
助けて!
ブチュウウウッ。
「ぎゃああああああっ!」
俺の人生 完




