1 愛の雫のありか
ブロロロ。
夜の田舎道を、岩山店長が運転するワゴン車が走り抜けて行く。
俺、理奈、孝さんを乗せたその車は、ある場所へと向かっていた。
尾田先輩から俺の携帯に電話がかかってきたのは、ついさっきの事だった。
そしてその内容は、愛の雫が見つかったというもの。
俺達が数人がかりで探し回っても見つけられなかったアレを、尾田先輩は一人で見つけたのだ。
まあそれ自体、あの人なら造作もなくやってのけそうなもんだけど、その愛の雫のありか(・・・)が、意外な場所だったのだ。
何と、愛の雫は今、
俺の担任の、鏡左京先生が持っている。
らしかった。
これは一体どういう事だろうか?
俺が愛の雫をなくしてすぐの頃、俺は鏡先生に
『教室に落し物がなかったですか?』
と聞いた時、鏡先生はハッキリと
『なかった』
と答えた。
なのにどうしてその鏡先生が愛の雫を持っているんだ?
まあそれも、本人に直接聞けば分かるんだろうけど。
という訳で俺達は今、御撫高校の学生寮に向かっていた。
鏡先生はそこで寮の管理人もしており、住まいもそこなのだ。
ともかくようやくこれで愛の雫が見つかった訳だ。
俺はホッと胸を撫で下ろしながら、鏡先生の住む学生寮へ向かった。




