表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た3  作者: 椎家 友妻
第四話 ミナ高侵入作戦
46/73

8 小宵ちゃんは見た目よりも軽い

 で、今の状況に(いた)るという訳だ。

ちなみに最初は五、六人だった追手の数が、いつの間にやら十数人に(ふく)れ上がっている。

おまけにさっき美鈴(みすず)の国語辞典で失神させられた玉木(たまき)も、復活して追手の中に加わっていた。

 もうどのくらい逃げ回っただろうか?

隣を走る小宵(こよい)ちゃんも、そろそろ体力的に限界みたいだ。

 「せ、(せい)()様、私、もう駄目です。私を置いて、聖吾様だけ逃げてください・・・・・・」

 小宵ちゃんはそう言った瞬間、その場に倒れこみそうになった!

 駄目だ!

ここで倒れたら、あいつらにメイドの格好をさせられ、色々なポーズで様々な写真を撮られてしまう!

それは絶対駄目だ!と思った俺は、

 「うぉおおっ!」

 と強引に小宵ちゃんの腕を引っ張り上げ、その勢いで彼女の華奢(きゃしゃ)な体をひょいっと持ち上げてお姫様だっこした。

 「ひゃあっ⁉せ、聖吾様何を⁉」

 顔を真っ赤にして叫ぶ小宵ちゃん。

そんな小宵ちゃんの体は見た目以上に軽かった。

これならお姫様だっこをしたまま走り続ける事も可能だ(美鈴の体じゃこうはいかないだろうけどなワッハッハ!)!

なので俺は()ずかしがる小宵ちゃんに構わず、そのまま全力疾走(しっそう)した!

 が、それを追いかけてくる男達もなかなかしぶとく、一向に(あきら)める気配がない。

あいつらどんだけ小宵ちゃんにメイドの格好をして欲しいんだよ?

あれがオタクの底力というやつなのか。

 いくら小宵ちゃんの体が軽いとはいえ、人一人を抱えて走り続けるのは限度がある。

俺の足もそう長くは持たないだろう。

ていうか何で俺はこんな目にあわなきゃいけないんだ?

そういえば前にもこんな事があったよな?

あの時はタイミングよく尾田(おだ)先輩が助けてくれたけど、そう何度も都合よく助けてもらえる訳じゃないしなぁ。

そんな事を考えているうちに俺は校舎の玄関に差し掛かった。

本来なら上靴(うわぐつ)のまま外に出るのは校則違反だが、今はそんな事気にしてる場合じゃない!

 俺は迷う事なく上靴のまま校舎の外に飛び出した!

すると背後から、

 「あーっ!あいつ上靴のまま外に出やがったぞ!」

 「あとで先生に言いつけてやる!」

 という追手の男達の声が聞こえた。

そして俺が後ろに振り返ると、男達は律義(りちぎ)にもちゃんと靴を下靴に()き替えていた。

 変な所で真面目な奴らだなぁ。

でもおかげであいつらを巻くチャンスができた!

俺は最後の力を振り(しぼ)って校舎裏まで走った。

そして裏庭にたどり着くと、学校の塀際にある草村に小宵ちゃんごと飛び込んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ