4 二人は意外と好相性?
ざっと(ざっと説明している様子)。
「な、なるほど、そういう訳だったの・・・・・・」
俺の説明をざっと聞いた理奈は、そう言って頷いた。
「つまるところ、孝と沙穂は両想いって訳じゃあなかったのね?」
「はい、そうです♡」
理奈の問いかけに、沙穂さんはニッコリ笑って答える。
その時浜野さんが密かにガッツポーズしたのを俺は見逃さなかったが、それについては黙っておく事にした。
一方そんな沙穂さんの言葉を聞いた理奈はすっかりしおらしくなり、さっきまでとは別人のように大人しい口調で沙穂さんにこう言った。
「そう、だったのね。それなのに私ったらカン違いしてあなたにひどい事を・・・・・・悪かったわ」
おお、理奈が謝った。
意外と素直なところもあるんだなと感心していると、沙穂さんは首を横に振りながら答えた。
「いいんですよ理奈お嬢様。どうかお気になさらないでください」
「ま、孝さんが沙穂さんの事を好きなのは変わらないけどね」
美鈴がイタズラっぽく笑ってそう言うと、理奈は再びさっきのテンションに戻って美鈴に声を荒げる。
「うるさいわね!そんな事分かってるわよ!
でも必ず私の魅力で孝をこっちに振り向かせてやるんだから!」
「あらそう、じゃあ私の制服を貸してあげるから、部屋までついておいで」
「望むところよ!」
そして美鈴と理奈はスタスタと食堂を出て行った。
あの二人っていがみ合ってるように見えて、実は結構相性がいいのか?
とか思っていると、今までずっと沈黙を保っていた矢代先輩が、突然立ち上がって元気な声を上げた。
「よぉし!こうなったら小宵ちゃんも一緒に学校に行こう!そんでウチらと愛の雫を探すんや!」
「ふぇえっ?わ、私もですか?でも、こんな格好で学校に行ったりしたら・・・・・・」
そう言って目を丸くする小宵ちゃんは、今日もフリフリエプロンのメイド服を着ていた。
そんな小宵ちゃんに抱きつきながら、矢代先輩は続けた。
「大丈夫!ウチの予備の制服を貸してあげるから!
小宵ちゃんはウチと体形が似てるから、きっとピッタリやよ!さ、ウチの部屋に行こ!」
矢代先輩はそう言うと、小宵ちゃんの手を引っ張って食堂から出て行った。
ていうか矢代先輩、ただ単に小宵ちゃんにセーラー服を着せたいだけなんじゃ?
とか思っていると、沙穂さんが身をくねらせながらこう言った。
「私も昔の制服を着たら、学校に紛れ込んでもバレないかしら♡」
その言葉に浜野さんはすこぶるエキサイトしながら、
「全然バレないですよ!」
と言ったが、俺はキチンと事実を告げておく事にした。
「いえ、バレます」




