2 お茶目に告白
沙穂さんはそう言って俺の方を見た。
それを見た理奈も俺の方に振り向き、刺すような口調で言った。
「何であなたが愛の雫を持っているのよ?」
それに対して俺は、ひきつった笑みを浮かべて頭をかきながらこう返す。
「いやあ、まあ色々ありまして、結果的に俺の手元に転がり込んできたと言いますか・・・・・」
「まあいいわ。とにかくそういう事ならさっさと愛の雫を返しなさい」
「いやあ、それが・・・・・・」
「何よ?まさかこの期に及んで沙穂に肩入れしようって言うんじゃないでしょね」
「いやいや、そういう訳じゃなくて、そのぉ・・・・・・」
「何なのよ?ハッキリしなさいよ」
そう言って俺の顔を覗き込む理奈。
対する俺はうつむいて黙り込む。
どうしよう、ピンチだ。
ここで正直に白状したら、俺はどうなるんだろう?
笑って許してもらえるだろうか?
まあ、それは万にひとつもないだろうな。
となると、俺は一生王本の屋敷で奴隷としてタダ働き?
それとも命をもって償えとか?
うぁあっ!
どう転がっても地獄だ!
するとそんな中、抑揚のない声で美鈴が俺に言った。
「もう正直に白状すれば?ここで隠してもいずれバレるんだし」
「う、う~ん・・・・・・」
や、やっぱり白状するしかねぇか。
俺が愛の雫を無くしたのは紛れもない事実だしな。
よし!言うぞ!
覚悟を決めた俺は、精一杯の笑顔を浮かべて言った。
「あの、愛の雫なんですけど、実は・・・・・・」
「実は、何よ?」
と理奈。
それに対して俺は、目一杯お茶目な感じでこう続けた。
「なくしちゃいました☆テヘッ☆」
・・・・・・が、それに対する理奈のリアクションはこうだった。
「な、な、何ですってぇっ⁉」
まあ、どれだけお茶目に言ってもこうなるわな。
そして理奈は俺の胸ぐらを掴み上げて声を荒げた。
「無くしたってどういう事よ⁉あなた自分がやった事分かってるの⁉」
「いやあ、これには色々と事情がありまして・・・・・」
「言い訳なんか聞きたくないわ!それよりどうするつもりよ⁉
あれは王本家に代々受け継がれてきた家宝!
あなたが何年も働かないと稼げないくらい高価な物なのよ⁉」
へぇ~、そりゃあ大変だなぁ。
と、もはや他人事のように思っていると、美鈴が強い口調で言った。
「だから今、一生懸命あちこち探しているのよ!」
「探すって何処をよ⁉」と理奈。
これには俺が答える。
「俺達が通ってる学校ですよ。多分、そこで無くしたんで」
すると理奈は間髪いれずにこう言った。
「じゃあ私もあなた達の通う学校に行って探すわ!」




