11 バイト先の捜索
「な、何ですってぇっ⁉」
ニューハーフの休憩室に、岩山店長の叫び声が轟く。
俺が岩山店長にもらった愛の雫を無くした事に対するリアクションだ。
そして岩山店長は俺の両肩を掴み、それをガックンガックン揺らしながらこう続けた。
「無くしたってどういう事なの⁉ひどいわ聖吾君!」
それに対して俺は、ガックンガックン揺らされながらこう返す。
「お、落ち着いてください店長!だからこうしてあちこち探し回ってるんです!」
「あれは私と聖吾君の、愛の証だったのに!」
「そんな証を立てた覚えはありません!」
「うう・・・・・・まさかこんな形で私と聖吾君の愛に、ヒビが入ってしまうなんて・・・・・・」
「そもそも最初から愛は無いです。それよりも、この店で落としたかも知れないんですけど、見てないですか?」
俺はそう尋ねたが、店長は首を横に振って答えた。
「残念ながら見てないわ。見たら絶対見逃すはずがないもの」
「そう、ですよね・・・・・・」
「でもこれはゆゆしき(・・・・)事態ね。私と聖吾君の愛を取り戻す為に、何としても愛の雫を探し出さないと!」
「俺と店長の愛はともかく、一刻も早く探し出さないといけないのは確かです」
「仕事が終わったら、店中徹底的に探すわよ!」
という訳で、俺と美鈴と岩山店長は、仕事が終わってから店中をくまなく探しまわった。
が、どれだけ探し回っても、愛の雫は見つからなかったのだった・・・・・・。




