10 カン違いしないでよね!
が、放課後になってもそれを見つける事はできなかった。
休み時間の間にトイレや廊下も探して回ったけど、愛の雫は見つからず。
結局尾田先輩にも協力してもらう事になったけど、見つかるかどうかは定かじゃない。
「ああ、どうすりゃいいんだ・・・・・・」
自転車に乗って学校を出た俺は、力なく呟く。
すると後ろに乗る美鈴が言った。
「何落ち込んでんのよ。まだ諦めるのは早いでしょう?」
「だって、あれだけ学校中を探したのに全然見つからないんだぞ?そりゃあ落ち込みたくもなるよ」
「だからってもう見つからないって決まった訳じゃないでしょ?もしかしたらバイト先で落としたのかもしれないし」
「お前は前向きだねぇ」
「あんたがそんなんだからよ」
「まあ、そうだなぁ。ありがとよ、はげましてくれて」
「なっ⁉別にそんなんじゃないわよ!勘違いしないでくれる⁉」
美鈴はそう言って声を荒げたが、この前よりはカリカリした雰囲気がマシになっていた。
それにしても、バイト先にあるかもっていうのは考えなかったな。
確かにあの日はニューハーフにも行ったから、そこで落としたという可能性はある。
「よおし!」
気を持ち直した俺は、急いでニューハーフへ向かう事にした。




