表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た3  作者: 椎家 友妻
第三話 消え去ったアレ
27/73

3 美鈴が不機嫌なワケ

 ブロロロロ。

 俺と小宵(こよい)ちゃんは、バイトを終えた美鈴(みすず)とともに、バスで御撫町へと向かっていた。

 「ホントにドジね。そんな大切な物を持っていた事に気づかないなんで」

 俺から事のあらましを聞いた美鈴は、(あき)れた顔でそう言った。

それにカチンときた俺は、ムッとしながらこう返す。

 「しようがねぇだろうが。岩山(いわやま)店長がアレを俺にくれた時、そんな事は一言も言ってなかったんだからよ」

 「そもそも男のあんたがイヤリングなんかもらってどうするのよ?誰かにあげるつもりだったの?」

 「そ、それは、お前には関係ねぇだろうが」

 そう言って口をつぐむ俺。

まさかここで美鈴に『お前にやるつもりだった』なんて口が()けても言えねぇ。

そんな事言ったら余計馬鹿にされるかもしれねぇし。

するとそんな俺に美鈴は目を細めてこう言った。

 「分かった。あのイヤリング、田宮(たみや)先輩にプレゼントするつもりだったんでしょう?」

 「は?はぁあっ⁉何でだよ⁉何でここで田宮先輩が出てくるんだよ⁉」

 「だってあんた、田宮先輩の事が好きなんでしょ?」

 「(ちげ)ぇよ!俺がいつそんな事言ったよ⁉」

 「この前仲良さそうにしてたじゃないの!」

 「うっ・・・・・・」

 こいつ、この前の事(第二巻おまけドラマ参照)をまだ根に持ってんのか。

ていうかこいつがずっと不機嫌なのって、もしかしてそれが原因なのか?

 とか考えていると、俺と美鈴の間に座る小宵(こよい)ちゃんが、おそるおそる声を上げた。

 「お二人とも、喧嘩(けんか)はよくないですよ。同じアパートの住人なんですから、もっと仲良くした方が・・・・・」

 すると美鈴は、

 「フン、今日は小宵ちゃんに(めん)じてこれでカンベンしてあげるわ」

 と言ってそっぽを向いた。

まったく、相変わらず可愛くねぇ奴だ。

そんな可愛くない美鈴はほっといて、俺は小宵ちゃんに笑顔で言った。

 「ところで、今日はもう遅いし、また(さわ)(なぎ)(そう)に泊っていけばいいよ」

 「え、でも、ご迷惑なんじゃ・・・・・・」

 「そんな事全然ないって。矢代先輩もきっと喜ぶだろうし」

 「そ、それじゃあ、お言葉に甘えて・・・・・・」

 「フン、相変わらず可愛い女の子には優しいんだから・・・・・・」

 美鈴がひとり言のようにそう(つぶや)いたが、ここで言い返すとまた喧嘩になるのでグッとこらえた。

何でこいつはこんなに可愛くねぇんだ。

こいつの考えてる事がさっぱり分かんねぇよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ