10 待ち構えるメイド長
それは背が高い女の人で、小宵ちゃんと同じメイド服を着ている。
歳は沙穂さんより上な感じで、鋭い目元に眼鏡をかけていた。
そしてその人物はまるで俺と小宵ちゃんを待ちかまえるように、玄関の前で仁王立ちしていた。
「うっ・・・・・・」
それを見た小宵ちゃんが、小さく声をあげて気まずそうな顔をする。
その小宵ちゃんに、俺は小声で話しかけた。
「もしかしてあの人がさっき言ってた、小宵ちゃんがよく叱られるメイド長さん?」
「・・・・・・はい」
やっぱりか。
パッと見た感じ、ハ○ジに出てくるロッ○ンマイヤーさんみたいな雰囲気だもんな。
そんな事を考えているうちに、俺と小宵ちゃんは屋敷の玄関の前にたどり着いた。
するとそこに居たメイド長の人が、小宵ちゃんを鋭く睨みつけて言った。
「ふた晩も屋敷に帰ってこないなんて、随分遠くまでお使いに行っていたのね」
「あ、あの、申し訳、ありません・・・・・・・」
小宵ちゃんはメイド長に深く頭を下げてそう言った。
それに対してメイド長は、右手の人差指でクイッと眼鏡をかけなおしてこう続ける。
「孝おぼっちゃまの言いつけとはいえ、王本家のメイドとして到底許される事ではないわね。
一体あなたは何処で何をしていたの?」
「そ、それは、申し上げる事はできません。
孝おぼっちゃまに、その様に仰せつかっていますので・・・・・・」
「フン、大層なご身分だこと」
小宵ちゃんの言葉にメイド長はトゲのある口調でそう言った。
何か、見るからに怖そうな人だな。
しかもちょっと性格もイジワルそうな感じだ。
と思いながら眺めていると、そのメイド長は俺の方を見やって言った。
「小宵、この方はどなた?」
「あ、ええと、孝おぼっちゃまの・・・・・・お知り合いの方です」
「孝おぼっちゃまの?こんな庶民的な身なりの人間が?」
露骨に疑いの表情を浮かべるメイド長。
まあ実際孝さんの知り合いだなんて嘘なんだけど、ここでそれがバレるとすぐに追い返されそうなので、俺も咄嗟にこう言った。
「俺、稲橋聖吾っていいます。孝さんとは、え~と、ち、竹馬の友です!」
勢いに任せてバレバレのデタレメを言ってしまった。
するとメイド長は一層鋭い目つきになって俺に言った。
「私はこの屋敷でメイド長を務めている辰巳幸江と申します。
ちなみに私は孝おぼっちゃまが幼いころからお仕えしておりますが、あなたのようなお知り合いは記憶にありません」
はうぁっ!
やっぱり完全にバレバレだった。
俺はここで追い返されちまうのか?
と、覚悟したその時だった。
「どうしたの?」
と、メイド長の幸江さんの背後から、若い男の声がした。




