6 ここでの喧嘩は日常茶飯事
「で、未だに仲直りできていないという訳ね」
その日の夜、沢凪荘に帰ってもそっぽを向き合う俺と美鈴を見て、沙穂さんが苦笑しながら言った。
それに対して美鈴はそっぽを向いたままこう返す。
「だって私にあんな事をしておいて、全然反省してないんですもん!」
その言葉にカチンときた俺は、美鈴の方に向いて反論する。
「だからあれはワザとじゃねぇって言ってるだろ!なのにお前はいつまでもグチグチ言いやがって!」
「何ですってぇっ⁉」
そう言って睨み合う俺と美鈴。
すると矢代先輩がやんわりした口調で間に入って来た。
「まあまあ二人ともそんなにカッカせんと。みっちゃんも機嫌直しぃや、
お兄ちゃんにおっぱい触られただけなんやろ?」
「なぁっ⁉」
矢代先輩の言葉に、美鈴は向き直って声を荒げる。
「お、おっぱいを触られただけって、それが大問題なんじゃないですか!
しかも人が寝ている隙に!
そもそも稲橋君はあの時、矢代ちゃん先輩のおっぱいも触っていたんですよ⁉」
こらこら、そんな話まで蒸し返すんじゃないよ。
と思っていると、矢代先輩は至って軽い口調でこう返す。
「ん?まあお聖吾兄ちゃんやし、別にええよ」
「えええぇっ⁉」
「マジっっっすか⁉」
矢代先輩の衝撃発言に、美鈴と俺は同時に驚きの声を上げた。
そ、それはどういう意味なんだろうか?
俺はいついかなる時でも矢代先輩のお乳に触れてもいいという事なのか⁉
ふ、ふぬぉおっ!
俺の脳内でよからぬ妄想が暴走する。
するとそれを察した美鈴が再び声を荒げる。
「ちょっとあんた!何変な妄想してんのよ!
それに矢代ちゃん先輩もおかしな冗談言わないでください!」
「ええやんかそれくらい~」
「駄目ですよ!そんな事だから稲橋君が付け上がるんです!」
「待て待て、俺がいつ付け上がったよ?」
「いつだってそうでしょうが!」
これはいよいよ収集が付かなくなってきた。
するとそれを見かねた小宵ちゃんが、ハラハラしながら言った。
「あ、あの、喧嘩はよくないと思います・・・・・・」
それに対して矢代先輩はニカッと笑いながらこう返す。
「大丈夫大丈夫、これくらいはいつもの事やから」
「そ、そうなんですか?で、でもやっぱり、喧嘩は駄目ですよ・・・・・・」
「小宵ちゃん・・・・・・・」




