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従者は悪役令嬢のフラグを折る為対策する①

カムの視点になります。

「ふぅ…。何とかお嬢様の挨拶まわりは終わりそうだ。」


お茶会も中盤に差し掛かり、お嬢様の挨拶を邪魔しない様に侍女のアリアと共に少し離れて見ていた。


「カム様。本当によろしかったのですか?」


アリアが怪訝な顔で俺を見上げる。


「どうかしましたか?」


「お嬢様は公爵家の令嬢です。それなのに王子殿下に挨拶せず後回しにするのは逆に悪印象になるのでは?…折角お嬢様の夢が叶うかもしれないと言うのに…」


どうやらアリアは俺がした事が不満に思っているらしい。


今回のお茶会はお嬢様の願望が叶う絶好のチャンス。

彼女はお嬢様を心から応援しているからこそ、余計に俺のしたことが気に入らないだろう。


でも…それは本当にお嬢様の幸せに繋がるのだろうか?



「お嬢様が王子殿下の婚約者になることだけが幸せになると限らないです。少なくとも今のお嬢様は、王子妃よりも公爵令嬢として広い視野で多くの友人を作るほうが彼女の為になります。」


次期王子妃という肩書よりも、心から信頼できる友人。

それが彼女に今一番必要な事。


ゲームのお嬢様は王子の婚約者になった途端、更に傲慢になり身勝手に振舞うようになる。

王立学園に入学の時点ですでに女王様だ。


そしてヒロインに攻撃する。


ただ、お嬢様がヒロインに過激に虐めるのは、王子と仲良くなるとは別に他の理由があると妹から聞いていたが、そこがよく思い出せない。


「…王子殿下の婚約者になってからでもいいのでは?」


アリアは納得していないようだ。

仕方ない…この人はお嬢様を年の離れた妹の様に思っているところがある。


「今、王子殿下の周りに令嬢達が集まっている中にお嬢様が行ったとしても、王妃様や王子様たちから印象を持ってくれません。特にお嬢様は彼女達を手酷く退かすでしょう。王妃様達から見たらどう思われるか分かりますか?」


傲慢な令嬢と思われる以外他ならない。


「そのうえ挨拶した後は王子殿下から離れず、後に挨拶に来る貴族達を邪魔するでしょう。…王家だけではなく他の貴族達からも反感を買います。あの子が我慢できない性分なのは貴方もよく分かっているでしょう?」


「…。」


彼女は黙ってしまった。

幼いころからお嬢様に仕えていたアリアだからこそ、彼女の性格がよく分かっている。


お嬢様が挨拶を終えて戻ろうとした時、一人の令嬢がお嬢様に声をかけた。


あの令嬢は…たしかヴァンデル公爵の一人娘、レティシア嬢だ。


お嬢様にとっては天敵のような存在と言っていた。

ゲームでもお助けキャラとしてお嬢様からヒロインを守る。



そんな彼女がなぜ?



お嬢様の傍に行こうした時、別の方向から見覚えがある人がお嬢様に近づく。

あれは…俺の雇い主であるグラジオ・ブロッサム公爵だ。


お嬢様は旦那様のお顔をみて嬉しそう。

それがとても年相応の可愛らしい笑顔で、見ている自分も釣られてつい口元が綻んだ。



すると横から視線を感じる。


隣にいるアリアが俺を見ていた。


「どうかしたのですか?」


「…いえっ、何でもありません。」


アリアはハッと気づき視線を慌てて外す。


でも…


「カム様は殿下にヤキモチを妬いているのね?だから殿下に会わせたくないのだわ。お嬢様と7つ歳が離れているけど…許容範囲かしら?」


小さく俺に聞こえない声でアリアは呟いていた。



アリアに気を取られていたら、お嬢様がレティシア嬢と一緒に王子殿下へ挨拶行くようにと話になった。


もしかして…良くない方へ向かっている?


お嬢様とレティシア嬢が話している中、急いで対策を考える。


王子を独占するという最初の危機は回避したが、まさかの助人キャラと共に行動するなど、予測していない事だ。


これは強制力?


お嬢様の婚約者になる可能性が出てきて焦った。


どうしたらいいか考えている矢先、王宮の文官がきてブロッサム公爵を呼ぶ。


どうやら旦那様のお客が来たらしい。


来客の方へ視線を向けると、そこに若い貴婦人がいた。


…あれ?どこかで彼女を見たことがある。


豪華なアクセサリーと農緑のドレス着る婦人はとても裕福な家の者だろう。


でも、とても仕事関係の人だと思えない。


そんな相手が旦那様に何用か?


旦那様は貴婦人をみて顔色を変える。

そして早々と貴婦人の元に行ってしまった。


「………。」


何故だかわからないけど、とても嫌な予感がする。


あの貴婦人はどこで見た?


何度か旦那様と共にしている時には一度も彼女に会った事がない。


じゃあ一体何処で彼女を知った?


< ねぇ、『癒姫』の攻略本に書いてあるブロッサム公爵のプロフィールをみてよ? >


脳裏で妹の声がする。


その声にある事を思い出した。



…もしかして…まさか!?


お読み頂きありがとうございます。

次はロザリア視点になります。

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