表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/162

似ている二人

沢山の評価、ブクマ有難うございます。

つい嬉しくて投稿を早めました。

明日からは通常通り月・水・金で投稿します。

ようやく長い休みが来てわたくし達は各自実家に戻った。


でも、昨日から王都のブロッサム邸に戻って来たのに…


「ねえアリア、リリーはまだ帰って来ないの?」


「リリー様はお昼前にお戻りになるとお聞きしていますので、もうすぐ来ますよ?それまでに課題を終わらせてくださいませ?」


そう言ってアリアは席を外した。


まだカムも学園から帰ってこない。

お父様も連日王城で仕事をして帰ってこないし、せっかく久しぶりにリリーと話をしようと思ったが、リリーも父の仕事の手伝いで領地に行っていた。


何とか学園生活を送れたし、ヒロインの事も知る事が出来た。


アレスのお陰で多少僻む人もいても、アンジェラに対して嫌がらせも少なくなっている。

ただアンジェラが生徒会に入った事によって休み明けからまた再発の予感はするけど。


今後の学園生活を思うとため息を吐いた。


アンジェラはわたくしに会うたびに睨む。

そして他の女子生徒達も『公爵令嬢の為に』という盾を持ってアンジェラに突っかかる。


いい加減やめてほしいわ…?



「お、お嬢様!?」


憂鬱に思っている最中に慌ただしくアリアが戻ってくる。


いつも落ち着く様にいって叱咤するアリアが珍しく狼狽するなんて何事か?


「どうしたの?そんなに慌てて…」


わたくし今、今後の学園生活に対してどうするか悩んでいるのよ?


「あの、リリー様がお戻りになったのですが、その、お客様とご一緒でして…旦那様が居ませんのでお嬢様からご挨拶をして頂けませんか?」


「…お客様?誰が来たの?」


通常の屋敷に来る客なら別に主人の娘が出る必要がない。


わたくしが挨拶するほどの相手?


疑問に思いつつもお客様が誰なのか聞いてみる。

すると…


「マーカス侯爵様です!」



…。


何ですって!?



・・・・・



ブロッサムの玄関に繋がるホール内でリリーとマーカス侯爵が話している。


出迎えると二人はわたくしに気づいた。


「お姉様、遅くなりまして申し訳ありません。只今戻りました。」


「これはロザリア様、ご機嫌麗しゅう。貴女と直接お話をするのは久しぶりですね?あの時はまだ貴女が小さい頃でしたが、随分お美しくなられました。」


マーカス侯爵はそう言って微笑む。


グレンがそのまま少し老けた顔つき、そして同じ声…いや、少し低いぐらいか?でもよく聞かなければ分からないぐらいそっくりだ。


「お久しぶりですわマーカス卿。いつもお忙しいお方がお供を付けずに妹とご一緒なんて何がありましたの?」


「昨日ブロッサム領地で仕事がありましたので一人で行っていました。リリーが今日王都に戻ると聞いてご一緒させて頂いたのですよ。」


老体にはとても助かりました。と、にこやかに言う。


お供も連れずに単騎で…大臣なのに何で大胆な…


「お姉様、マーカス侯爵様はいつもそうなんです。」


「リリー、いい加減に私を父と呼びなさい。」


マーカス侯爵はリリーの髪に触れ撫でながら優しく嗜めるが、リリーは申し訳なさそうに頭を下げる。


「申し訳ありません。それは私たちのお父様がやきもちをやきそうで怖いです。マーカス侯爵様のお屋敷の中だけ言わせて頂きますね?」


リリーとマーカス侯爵のやりとりをみて思う。


まるでグレンと一緒にいる時と同じ雰囲気。

マーカス侯爵のリリーへの接し方がグレンと同じなんだ。


「とんでもない。リリーは息子の妻になるのだからジオが何言おうと構うまい。早く嫁に来なさい。今すぐにでも私は大歓迎だよ?」


さらりと訳がわからない事をいう。

この人は一体何を言っているのだろう?


確かに貴族の中では成人を待たずに早く嫁ぐことはあるが、高位貴族でそれはあまり無い。

あくまで学園を卒業してから結婚する者が多い。

訳がある家や既に家が傾いている家なら分かるが、ブロッサム家は全くもってそんなことない。


だから未成年のリリーを嫁がせる理由が無い。

この人は何故そんな事を言うのか?


「恐れ入りますがマーカス卿、リリーはまだ未成年ですわ。グレン様は成人になられたとはいえ、二人の婚姻はまだ早いかと思います。我が家は未成年のままの婚姻は認められていませんので、リリーが学園を卒業するまで待って欲しいですわ。」


「いいえ、我が家は代々男が成人を迎えれば問題ないのです。特にリリーには早々と跡継ぎを産んでもらわなければなりませんからね。これは私たちマーカス家の問題なのです。姉妹とはいえ貴女には全く関係ありません。」


結婚を急かすマーカス侯爵にやんわりストップをかけるが、彼は素敵な笑顔をわたくしに向け否定する。

その素敵な笑顔はグレンと同様、裏には“邪魔するな”と言葉が隠されている。


何この人…怖いわっ!

グレンといい、マーカス侯爵といい、親子揃ってリリーに執着する。

もっと否定したいけど、相手は大臣。

流石にグレンと同じ様に返せない…どうしようと思ったら他のメイドが入ってきて来客を告げる。


「お嬢様方、グレン・マーカス様がお見えになりました。」


まさかのタイミングでグレンがきた?


「ああ、私が呼んだのです。迎えにくる様に手紙を出したので。」


満足そうにマーカス侯爵は玄関先を見る。

すると扉が開きグレンが現れた。


「グレン様、いらっしゃいませ」


リリーはグレンをみると嬉しそうに表情を緩め微笑んだ。

グレンもそんなリリーに優しげに微笑むがマーカス侯爵に視線を向けると無表情に変わった。


親子揃ってみると本当にそっくり…。


「迎えご苦労、グレン。」


「いえ…父上、城の者が戻るよう伝令がありました。王城にお戻りを」


マーカス侯爵は「分かった」と返し、やれやれとため息をつきながら玄関に向かうが、グレンとすれ違う時に立ち止まった。


「お前はついてこなくていい。せっかく久々にリリーに会えたんだ。ゆっくりしてきなさい…そろそろ役目を果たせ。」


「……。」


久しぶりのリリーとの逢瀬に気遣うように声をかけるが最後の言葉だけが聞き取れない。


一体何言ったの?


マーカス侯爵を凝視していたら、こちらに振り向いて微笑む。


「今日は急に押しかけて済みませんでした。では、私は失礼します。」


「では、お見送りを。」


リリーが見送る為にメイドたちに指示し向かおうとするがマーカス侯爵はそれを手で制する。


「ここで良い。リリーまた今度ゆっくり話をしよう。グレンをよろしくね?」


そのままマーカス侯爵は去っていった。


「…な、何なのよ…?」


「…あの人はいつもああいう人だ、気にしなくていい。…リリーおいで?」


グレンは忌々しい様に表情を歪めて振り払う様に言い捨てる。

そんな顔してリリーを呼ばないで欲しい。


近づくリリーを抱き寄せてその髪を優しく撫でた。

はたから見れば甘々バカップルなんだが、グレンたちの場合は何故か甘さが感じられない。


「グレン様…会えて嬉しい。学園は如何ですか?寮生活だと大変でしょう?」


「俺も嬉しいよ。いつも手紙だけだったから元気な声が聴けて良かった。学園は大丈夫。父の補佐よりは楽だよ。まあ、一人あっちこっち問題を起こしている人はいるけどね?」


…いつも思うが、こいつはさらりと人をおちょくる。


喧嘩売っているのなら当然買うまでだわ。


「まるでわたくしが起こしている言い方ね?」


笑顔で返すとグレンも笑顔で返す。


「間違っていないだろう?」


何ですってっ!?


声を張り上げる前にリリーは慌てて止める。


「お、お姉様、せっかく久しぶりなのですし、皆でお茶しましょう?グレン様も、ね、いいでしょう?」


「俺はリリーと二人でいたいよ?」


リリーを庭に連れて行くつもりか、玄関の方へ足を向けようとするグレンの腕を掴み待ったをかける。


「ご一緒にお茶しましょうグレン。それでこの際はっきりさせましょうか?さっきのマーカス卿といい、何でそんなにリリーにベッタリなのか…ねぇ?」


「別に婚約者なのだから普通だか?羨ましいならルーベルトや従者にして貰えればいいだろう?」


離せというようにわたくしの手を振り払うなんて、なんて失礼な奴っ!余計に頭に来たわ!


「あんたみたいに不埒な男ではないわ!」


「待ってください!わ、私はお姉様とグレン様の学園のお話が聴きたいです。さぁ参りましょう?」


言い合うわたくしたちに埒が明かないと判断したのか、リリーはグレンの腕に自分の腕を絡ませ強引に引っ張った。


「さぁお姉様も!」


わたくしに声をかけてそのままグレンを連れて行こうとするが、リリーの腕力じゃグレンは連れて行けない。


そんな必死のリリーのお願いにはグレンも文句言えないのか、仕方ないと息を吐きリリーと共に来客室に足を運んだ。


そんな二人の後姿を見ながら一反乱起きそうだなとわたくしは思った。



カム帰ってこないかしら…?



・・・・・



でも3人のお茶会は意外と和やかに進んでいる。



「へぇ…そんな先生かいらっしゃるのですか?」


「もう、凄いわよ?何故かわたくしだけいつも目の敵にして、いい迷惑よ!」


あの強烈な女教師であるエリザベル・ザハラン先生を話すとリリーは厳しそうですね?と困った顔をする。


厳しいだけではないわよ?


『鉄の淑女』と呼ばれるあの人は何故かカーテシーするだけでもあと数ミリ腰を曲げなさいとか、ドレスを掴む腕の位置が前に出すぎとか本当に細かい。

公爵家でもOKを貰っているのにあのザハラン先生の前では全く通用しない。

終いは言葉使いが全部駄目だとケチをつけてくる。


「それでもロザリアは直らない。もっと厳しくしてもらう様に依頼しようか?」


「余計な事しないで頂戴!」


「この前ナージャ様から可愛らしい刺繍の絵柄と手紙を一緒に頂いたのですが、ナージャ様のクラスの先生は年配のお爺様なのに動きが機敏だと書いてありました。色々な先生がいて楽しそうですね。グレン様の先生は面白い御方なのですか?」


「俺のところは特にないかな?…俺の顔を見る以外はいたって普通だよ。」


「あんたの顔を見る以外ってなによ?」


「…父と似ているからだろう?教師が一生徒相手に謙遜してくるから、クラスで揶揄われる。」


グレンの担当教師はグレンを見て公衛大臣がそこにいるかのように畏縮してしまうらしい。

それをみて同級生だちは毎回茶化す様に先生がグレンに好意があると面白がって揶揄うらしい。


悪意はないがその同級生は怖いもの知らずだ。

グレンは相手していないらしいが、怒らせるとどうなるやら…。


「男性教師が男子生徒に…これはそういう話が好きな女子には嬉しそうですね‥?」


教師と生徒の禁断物語…と呟くリリーにわたくしとグレンは固まる。


今…何と言った?


「リリー…貴女、何故そんな話を知っているのよ?」


ちょっと待って?

公爵令嬢とあろうリリーがなんでそんな俗物を知っているの?


わたくしもそういう話は学園を通って知ったのに、何故学園に通っていないリリーが知っている?

もしかしてそういう本を隠れて読んでいたの…!?


グレンもリリーを見て信じられないような表情をしている。


「え?そ、それは…ジュリが息抜きに読んでって言われて本を貸してくれたんです、確かそういう話の本でした。ジュリの話だと市井の女の子に人気があるそうなんですよ?」


私もそういう話は最近知ったんですよ!とリリーは慌てて否定する。


そ、そうよね?

殆ど領地の仕事を手伝っているリリーがそんな俗本を読んでいる姿を見たことない。

趣味で経済関連の本を読むか、刺繍をしているぐらいだ。


でも最近余裕が出来たのか、そういう恋愛小説も好んで読んでいるらしい。


女の子が色々と紹介してくれるとか。


「…ジュリ?それは誰だ?」


楽しそうに話すリリーにグレンは真顔になり問いだす。


「最近仲良くしているお友達です。王立図書館にいる時、少し困っていたところ助けてくれたのがきっかけで知り合ったの。いい子なんですよ?」


リリーの話によると王立図書館で調べ物をしていた時、知らぬ男性に絡まれたそうだ。


普段はリリーの侍女テレサと護衛の従者と一緒に行動を共にするのだが、たまたま隣の部屋にある本を取りに行こうと一人で行動したらしい。


そして知らない男性にしつこく声を掛けられて困っているところ、一人の女の子に助けられた。


「その子はディリクレ子爵家のジュリア嬢、私と同じ年の女の子で仲良くして貰っています。」


「へぇ、お友達が出来て良かったじゃない。来年はその子もリリーと一緒に学園に入学するのね?」


「はい、だから学園に入るのが楽しみ…」


ガシャンッ


急に食器が大きく音を立てる。

音の発生先は…どうやらグレンだ。


「リリー…どういうことだ?何故、供をつけず勝手に動いた?」


テーブルに拳を当ててグレンは珍しく厳しい目をリリーに向ける。


「あ、その、ごめんなさい。すぐ隣だったから大丈夫かと思っていたの…。」


「だからといって安全だと限らない。一人で行動するなと、いつも言っているだろう!?」


「ちょっとグレン、何でそんなに怒るの?確かに絡まれて危なかったかもしれないけど、無事だったのよ?」


怒鳴るグレンにリリーを庇う様に割り込む。


場所だって王立図書館だ。

厳重に警備されている場所に少しでも騒ぎが起きたなら、すぐ警備隊が駆けつける。


「煩い!リリーは公爵令嬢だ。狙いやすいと誰でもが分かること、何で勝手に…それもこの事は何も連絡がなかった…どういうことだ?」


グレンはリリーの後ろに控えている侍女テレサに冷たく睨みつける。

テレサは怯えた。


「貴方に心配かけたくなかったから連絡しなかったの…ごめんなさい。」


怒りぶるグレンにリリーは悲しそうに俯く。


何でそこまでグレンが怒るのか分からない。

たかがしつこく話しかけられただけ、そして無事だったのだから何も問題ない。


「…やはり何が起きるか分からないな…。」


「グレン?」


グレンは立ち上がりそのまま隣で座るリリーを立ち上がらせ手を引く。


「ちょっと!どこに連れていくのよ?」


「…リリーに別の話がある。悪いがお茶会はここまででさせてもらう。」


「何を言って…」


「お姉様ごめんなさい…一旦席を外します。」


止めるわたくしの言葉を申し訳なさそうにリリーは遮りそのまま部屋を出て行った。


「…一体何なの?」


残されたわたくしとリリーの侍女テレサだけがこの部屋にいる。


「…あいつ何であんなに怒って…テレサ、何か知っているの?」


「…グレン様は昔からリリーお嬢様をとても大切にされています。過剰になってしまうのは仕方ないかと思います。」


大切だからって言ってあの怒り方は異常だ。


テレサはリリーの元に行くと言って下がった。

一人残されて呆然としてしまう。



…なんだかまずい事になったかもしれない。



お読みいただき有難うございます。


この世界の成人は16歳と言う設定です。

現在ロザリアは15歳(夏産まれなのであと少しで16歳)、リリー15歳、グレン16歳 です。


ここからはグレンとリリーの話が続きます。

話の内容を少しこだわってしまった為か長いです。

グレンの話のラスト近くまで既に投稿を終えてますが、この内容がラストまでR15の内容になります。(この話から15話ほどあります。。)

苦手の方は飛ばしてください。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ