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12歳の悪役令嬢は家族を思う

修正と一部変更を行っています。

全部ではないので内容が多少異なるかと思います。

後に全て修正致します。

ー 翌日 ー


今日は王城で王妃が未来の国を支える有力な貴族の子供たちを交流させる為のお茶会を開く。


伯爵以上の貴族子息子女はこのお茶会に参加して、自分の家に利益になる人脈を見定めながら王族や上級貴族に気に入られる為にアピールをするのだ。


特に本日は第二王子であるルーベルト殿下の婚約者候補を決めるお茶会だと知っている為、

貴族子女は王子の目に留めてもらおうと一段と張り切って着飾る。


わたくし、ロザリア・ブロッサムもその1人だ。


昨日はカムの言動に振り回されたが、折角の勝負所。


是非ともルーベルト殿下にわたくしをみてもらいたい。

そしてわたくしを選んで?


花のダリアをイメージした薄赤とドレス。赤と白が交じったフリルが可愛らしい。

この上品なドレスに合うように、金色の波打つ長い髪は大人っぽくハーフアップにして赤色の艶のあるリボンで結ぶ。


本当はもっと全体を小さな宝石で散りばめて、水の潤いを感じる薔薇色のドレスを予定していたが、アリアとカムに薦められてこっちのドレスに決定した。


「お嬢様、とてもお似合いでございます。」


アリアが嬉しそうにわたくしを褒める。


「お嬢様は花のようです。きっと殿下はお嬢様を見初めてしまうでしょう。」


「ふふっ。そうでしょう?」


くるりと花が回る様にドレスの裾を広げてまわる。

今のわたくしはとても気分が良い。



「では参りましょう。」


片付けを終えたアリアに頷き、共に玄関をでた。


「お嬢様、お早う御座います。」


外で待っていたカムがこちらに微笑む。


「おはようカム、少しは頭が治って?」


昨日の事を揶揄う。


散々人を馬鹿にしたのだから、これぐらい良いでしょう?


でも当の本人はニッコリと微笑んだ。


「大丈夫ですよ。今日は何があってもお嬢様が皆様に失礼をしない様に、しっかりお側にいて見張りますから。悪役令嬢にならない為にも、王子様ではない相応しいお相手を探しましょうね?」


全然大丈夫じゃない!!


「悪役令嬢って、また訳が分からない事を…」


「お嬢様、リリーお嬢様からお手紙が届いております。お時間がないので、馬車の中で読んでは如何ですか?」


文句を言おうとしたところで話を替えられた。


これは後でお父様に言いつけてやるわよ。


カムは涼しい顔でエスコートし、わたくしたちは馬車に乗った。

一息して渡された手紙を受けてリリーの手紙を開く。


「…。」


「お嬢様、如何されましたか?」


アリアが心配そうな声をかけてきた。


「ふーん。リリーは今日も来られないそうよ。」


「リリーお嬢様が?…もしや奥様の事でしょうか?」


「ええ。お母様の調子が酷く悪いから付いていたいって。」


これはいつもの事ね。


ブロッサム家の二女、リリー。

一歳下の妹。


あの子はいつも母を理由にして、ブロッサム家が経営している領地から出てこない。

あそこにはお母様がいるから。


お母様は重い病気で自然が多い領地で療養している。


お父様は仕事で常に王都に在中しているから領地に帰らない。

その代わり母が領地で療養しながら父の代わりに現地しか出来ない仕事を担っている。


でも…医師の話によると、お母様はそんなに長く生きられないらしい。


そんなお母様なのに、お父様は目を背けている。

日々日々に弱っていくお母様の姿を見るのが辛くなり、リリーが産まれてから領地に戻らなくなった。

とはいえ現領主。病を患っている母ばかりに任せていない。

領地にいる執事に手紙でやり取りして、どうにか経営を続けた。


そこまでして母の元に来ない父に妹は嫌っている。


公爵家の令嬢なのに、こうして王家のお茶会や他所の交流会の参加を殆どボイコットをするなど、父に反発ばかりして…


「ふんっ。」


わたくしはリリーの反抗に呆れて仕方ない。


だってわたくしはあの子と違う。


わたくしはお父様は尊敬できるし、いつも溺愛してくれて大好き。


お母様も妹も大切だが、貴族としてどうかと思うわ。


特にリリーは公爵令嬢として自覚がない。


わたくしがいるから、王家のお茶会に参加しない事は別に問題ないでしょう。

でも、私情よりも貴族として役目を果たさなければならない。


貴族として生まれたからには多少の矛盾はしかたないわ。


何かを犠牲にしても、家を守り続けていかなければいけないの。


「全くもって愚かだわ。」


わたしをみて、アリアとカムは複雑な顔をするが静かに口を閉ざしている。


モヤモヤする気持ちを変えたくて、カーテンを開き馬車の外を眺めていた。



・・・・・



― バロン王城 -


王城に辿り着き、王宮のメイドに会場まで案内してもらう。


「お父様ったら乗馬場で待っていると言った癖に、居ないなんて酷いわ!」


頬を膨らませて言うとカムが苦笑する。


「旦那様はいつもお忙しいですからね。」


「今日は娘が来るのよ!?…もう!!」


いいわ。もうすぐお茶会が始まるし、後でしっかり文句を言ってあげる!



会場には貴族の子息子女が集まっていた。


どうやらお父様の所為で遅れてしまったようね?


案内された席に座りながら悪態をつく。



「お嬢様…彼方を見て下さい。」


カムがわたくしの耳にコソッと小さな声で話した。


見てみると1人の子息がいる。


あの子は確か…。


「ハワード宰相の子息ね。確か名前は…。」


あれ?すぐに出てこない…


「シリウス・ハワード様です。四大侯爵家の一つであるハワード侯爵家の嫡子で、御歳はお嬢様と同じです。」


カムが呆れた顔で彼を教えてくれる。


そんなに丁寧に説明をしなくてもいいわよ?


「知っているわ。で、彼がどうしたのよ?」


「彼は攻略対象者です。」


「…。」


黙ってしまった。


でもカムはわたくしに気にせず話し続ける。


「そして今、ハワード侯爵子息に話かけているお方は、騎士団長の御子息のマリオット・カイナン様。あと少し離れたところにいる少し背の高い黒髪の少年は、バロン軍の総大将であり公衛大臣をしているマーカス侯爵の御子息、グレン・マーカス様です。」


カムが次々と貴族子息の名を教えてくれる。


紹介する子息たちは皆、周囲にいる貴族子息よりも一際目を引く者達だ。


「あとルーベルト殿下が揃えば全員です。」


「…。」


どうしてかしら?今は淑女として振舞わなければいけないのに、段々顔がヒクヒクと引きつるわ。


それでもカムは語るのをやめない。


「あと彼方にいらっしゃる御令嬢は、お嬢様と同じ悪役令嬢のナージャ・カレントス侯爵令嬢とマリアン・アンバー伯爵令嬢。あとリリーお嬢様が揃えばメインヒーロー達、ライバル令嬢勢揃いですよ。ヒロインがいないのに壮絶だ。」


なぜかカムは頭を抱えている。


ねぇカム…。もう、どこをどう指摘したらいいか分からないわ…?


そんな中、お茶会の開始を告げる合図が鳴る。


そして同時に、開催者のレジーナ王妃様と王妃の子であるアルベルト王太子様と第二、ルーベルト王子様が現れた。


王族達が会場の中央に進むと、皆の視線が一斉に中央に集まる。



わたくしはルーベルト殿下を見た瞬間、何故か彼の周りに薔薇が咲く様な幻覚をみた。


「…綺麗…。」


庭園に咲き誇る薔薇たちが霞むぐらい麗しい王子様をみて、わたくしの思考は王子で一杯になった。



お読み頂きありがとうございます。

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