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12歳の悪役令嬢、従者の言葉に歓喜する

まだまだプロローグ的なのが続きます。

※色々と修正しています。

とにかく落ち着いて話す為にカムに席に座って貰った。


彼は向かいのカウチに腰を下ろし、再びわたくしに向き合う。


「どうして『ざまあ』されるか、説明しましょう。まず、お嬢様含めて貴族の子息子女は16歳になったら王立学園に入学されます。まあ、これは典型的な乙女ゲームのオープニングですね。」


王立学園。


16歳から通うこの王国唯一の貴族の学園だわ。


「…乙女げーむのおーぷにんぐ?」


聞きなれない単語に首を傾げる。


「いえ、そこは気にしないでください。入学時にお嬢様はバロン王国第二王子の婚約者となるのです。ですが、王子は入学式の際に物語のヒロインと出会い、その後二人は仲良くなるのです。お嬢様はもう王子様にベタ惚れしているので、それが気に入らないのですよ。」


ヒロイン…


何かのお伽話の話かしら?


「そしてお嬢様がヒロインにあの手この手と嫌がらせするのですが、最後の卒業パーティーに王子と他の攻略対象者に断罪され爵位を剥奪、そして追放され修道院です。もしくは攻略ルートによって娼婦館へ売り飛ばされるのです。まさにざ、ま、あ!……テンプレすぎてひねりもない!!」


一歩的に捲し立てる従者カムの話を聴いても全くっ意味がわからない。

最後の言葉も意味不明。

でも当の本人は頭を抱えていた。


「まさか生まれ変わったのが、妹がやっていたゲームだなんて…最悪だろ?しかもロザリアの従者に俺みたいなキャラがいたか?モブ?」


カムは一人でぶつぶつ言っている。


さっきからなによ?

世迷言を聞かせる為にわたくしの優雅なひとときを邪魔したのかしら!?


「カム!お父様の補佐が大変だからって何戯言を…!そんなに嫌ならわたくしの従者だけでやってなさい!第一、バロン王国一麗しいと有名なルーベルト様を王子、王子と連呼して呼びは不敬でしてよ!そんなルーベルト様の婚約者にわたくしがなるなんて…」


はっ、そうよ?今、カムは何て言った?



“入学時にお嬢様はバロン王国第二王子の婚約者となるのです。”


頭の中のでリプレイする。


わたくしがルーベルト殿下の婚約者?


バロン王国、第二王子たるルーベルト・フォン・バロン。


王妃に似て抽象的な美しさを持ち、博識な頭脳を持つ麗しい王子様。



「何ですって!?ルーベルト様の婚約者!…貴方、分かっているじゃない?ブロッサム公爵令嬢であるわたくし程、ルーベルト様に相応しいわ。」


扇子を広げ高らかに おほほほっと笑う。


私が選ばれて当然。

なにせ我が家は祖父が元バロン王国第三王子であり、王家の血筋を持つ偉大なる公爵家なのだから。


でも、気分が最高潮の私を従者は冷めた目でツッコミを入れる。


「お嬢様はあほですか。それがダメなのでしょう?あとその作法は令嬢としてアウトです。」



公爵令嬢に容赦なくダメ出しを入れる従者。


私の頭に重りみたいな何かが落ちた…気がする。


「…カム…。」


この男は…どれだけわたくしをおちょくるのか…?


ワナワナと拳を震わせ、何とか言い返せないか考えていたら、侍女は軽く咳込み近づいてきた。


「お嬢様、少し風が出て来ましたのでお部屋にお戻りを。折角なのでカム様とご一緒にお部屋でお茶をしたら如何ですか?」


この話は人が通る外ではなく、部屋の中でした方が良い。


侍女は今の状況を分かって話してくれる。


「いいわね。カム行きましょう。」


「そうですね。」


わたくしの専属侍女アリアの言う通り、これ以上訳の分からい話をしてカムが変な人に見られたら困る。

カムだけ変な人と思われてもいいけど、主の娘であるわたくしまで変に思われてしまう。


アリアの提案を呑み、わたくしたちは部屋に向かった。


移動時、アリアは危機を回避したと言わんばかりに安心した顔を見せていたのが気になるけど…。


移動中、メイド達がカムを見ている。


「カム様、先ほど階段から転げたそうですけど大丈夫でしょうか?」


そうコソコソ話しているのを盗み聞きしながらふと、わたくしの後ろで歩くカムを盗み見る。


青が入った銀色の髪、深海を思わせる様な藍蒼の眼をした青年。

身体は細身でもしっかりした肉つきがあって男らしい。

そんなカムはメイドたちに人気がある。


……腹立つわ。


カムに無性に苛立った。


カム・クラベル 現在19歳


クラベル伯爵家次男で跡取りではないけど、過去の文官志望テストで高得点取るという頭脳明晰な青年。

財務大臣であるわたくしの父、グラジオ・ブロッサム公爵に将来の補佐と見込まれて、14歳からブロッサム家に来て見習いとして住み込みしながら父に付いて勉強をしている。


とても綺麗な容姿をしているから、7歳の幼いわたくしは出会ってすぐにカムが欲しいと何度もお父様に強請ったわ。

そしてお父様は財務補佐の仕事時以外ならと良いと言ってくれて、カムをわたくしの従者にしてくれた。


従者として本来ならばわたくしと一緒にお茶を飲み、馴れ馴れしく談話する事は禁止されているけれども、彼はお父様からお目付役として認められている。

公爵令嬢のわたくしに対して怖気ずはっきりと言うが、気の合う兄の様な従者だ。


普段は運動神経が良いくせに階段から落ちるなんて間抜けね。


わたくし専用の応接間に入り、カウチに腰を下ろした。


そして本題に入る。


「なに?お勉強中に居眠りでもしていたの?」



カムを見上げ向かいのカウチに座る様に促す。


「違いますよ。お嬢様と同じにしないでください。…実は先程、業者の人がメイドの子とぶつかってしまったのです。その子が階段から落ちそうなところを助けたら、逆に自分が落ちてしまいました。」


カムは座りながら経緯を話す。


でも…


今、とーても失礼な事を言わなかったかしら?


「落ちたと言っても尻を打った程度です。でも、運悪くメイドさんが持っていた銀の配膳盆が頭に直撃して、ちょっと軽い脳震盪を…まあ、そこで色々と思い出したっていうか。そんな感じですね。」


はい。

専属医呼び出し確定ね。

あとカムが助けたメイドはクビよ。クビ!


アリアの入れたお茶を飲みながら心の中で文句を呟く。


「分かったわ。先ほどの妄言はカムの夢物語という事でいいわね。このわたくしが断罪される夢など…カム、お前はそんなにわたくしの事を恨んでいるのかしら?」


カムを睨みながら、お茶の供に出てきたマフィンをフォークで突き刺した。淑女としてはマナー違反だと分かっても刺したくなる。


でも、カムは全然堪えなくて説教を始めた。


「夢だったらどれだけ良かったかと思いましたが、これは現実です。だって今のお嬢様はあの我儘で傲慢。自分が黒と言ったら白でも黒と言い張り公爵家の名でものを言わせる悪役令嬢そのものです。なにせ俺が来る前は相当な我儘っぷりだと、苦情が多く寄せられていたのです。例えば…」


カムはため息を吐き、いくつか例を挙げる。


「有名な仕立屋に何着のドレスを注文しても一度も袖をとおさない。気に入った有名菓子を大量に注文して食べて、逆に料理長が作るものを食べず味が悪いと文句を言っていた事も。あと何人のメイドと従者を何かと理由を付けて旦那様いい、辞めさせたらしいですね?今は俺や執事のハーンさんで止めて大方落ち着きましたが…」


むっ。

そんな終わった話を持ち出すなんて!?


でもカムの説教は止まらない。


「終わった話ではありません。今も相当ですよ?お嬢様は俺やハーンさんの目を盗んで旦那様にお願いしてメイドを辞めさせていました。確か公爵家の花を勝手に持ち出したっていう理由でしたね?あれはお嬢様が捨ててと言って俺に渡した花です。俺がまだ綺麗で勿体無いから欲しい人にあげたのですよ。それをその子が盗んだなど冤罪も程がある。」


その真相が発覚した後、カムはブロッサム公爵に訳を話してメイドの娘にある程度の謝罪金を送った。



「お嬢様の外観は美人なのに性格がアレで勿体無い」と言いながら、優雅に紅茶を飲むカム。


…段々腹が立つわ。


「今のお嬢様をルーベルト王子の婚約者にしたら更に有頂天になって傲慢に振る舞ってしまう。まさに『悪役の断罪待ったなし』ですよ。幸いにも明日は王家のお茶会でしたよね?今思い出して良かったです。」


「だから、なんでそうわたくしの悪口をポンポンと…。貴方が心配しなくとも、公爵令嬢として振る舞うのだから問題ないわ。」


だって、わたくしこそがルーベルト殿下の婚約者として相応しいもの。


自信満々に言い切ると、カムはやれやれと呆れた顔をしている。

その視線が痛い。


「今回のお茶会は初めてルーベルト様とお会いします。ゲームの話だと、このお茶会は第二王子の婚約者探しがメイン。ですが、訳があってルーベルト様は適当に婚約者を決めるのです。」


どう適当に決めるかというと、王子様の隣の席をわたくしが無理矢理陣っただけ。

それだけでルーベルト様の婚約者になるらしい。


「安直に決めたなぁ、と妹が呆れて言っていましたね」と呟くカムを再び睨み付ける。


なんで、王家の婚約者選びの方法を勝手に決めつけているのよ?

それにお前には妹はいないでしょうが。


「とにかく、お嬢様は明日のお茶会で大人しくしてほしいです。出来るだけルーベルト様に近づかない事。本当は参加しない方がいいのでしょうが、伯爵家以上の貴族に娘がいる場合は必ず1人でも参加させるという令状が出ていますから、流石に断れません。俺も一緒に行くので何とかなるでしょう。」


カム一人で話を終わらせるが、先程からずっと訳がわからない事ばかり言われて、「分かったわ。」なんていう訳わけないじゃない。


「そうね。まず貴方は今すぐ精神医に行きなさい。そして脳をしっかり見てもらい明日まで入院してくればいいわ。明日はわたくし一人で十分よ。アリアも一緒なのだから、カムがいなくても何も困らないわ?」


もうこの戯言はおしまい。


カウチから腰を上げてこの場を去ろうとした。


去る際にカムが再び話す。


「駄目ですお嬢様。旦那様からお嬢様を無事にお連れするように言われていますので明日は俺も一緒に王城へ参ります。」


「結構よ。頭がおかしくなっている人に来てもらっても迷惑だわ。」


バッサリと冷たく断るが、カムは全然堪えていなくてニッコリと優しく微笑んだ。


「大丈夫です。お嬢様を守るのが俺の役目ですから。如何なる時も必ずお嬢様をお守りいたします。」


イケメンの魔性の笑み。


たいした言葉でもないのに、頬に熱がこもる…ズルい!


「勝手にすれば?」


そのままカムを残して部屋へ戻った。


お読み頂きありがとうございます。

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