6 目覚め
長い時間を経て。
瑠璃色の髪の少女――リリカは、夢から目覚めた。
思い出したくない過去は、彼女を明瞭に覚醒させた。
カッと目を見開く。
「……!(わたし、生きてる!?)」
目覚めたリリカは、自分の置かれた状況を把握しようとする。
どうやら、自分は粘性のある液体の中にいるようだ。しかし呼吸は充分にできている。
――なに、ここは!?
――植物でできた部屋?
――わたし、あの戦闘で燃やされて……ここに連れてこられた?
「(つまり……ここは、まだ異世界!?)」
――ちょ、わたし裸じゃない!?
慌てて自身の身体を確認し、粘性のある液体で満たされた植物性の閉鎖型ベッドからザバリと起き上がる。
すると、自然に植物の蔓が身体に巻き付いてくる。
――なに!? まさかこの植物がバスローブがわりになってるの……?
身体に巻き付いた大きな植物の葉を確かめながら、ゆっくりと植物性ベットから起き上がり、裸足のまま床に足をつけ、周りの様子を確かめようと周囲を見回そうとする。
しかしその必要はなかった。
リリカの目の前に、彼らはすでに立っていた。
「! あ、あんたたちは……!」
顔半分に刻印がある亜麻色の髪の少年ユーリィ、彼の幼馴染シャーロット、そして赤毛の少女ロラマンドリ。
三人の真ん中に立つ亜麻色の少年が、右手で腰の片手剣を引き抜く。
そして、リリカの鼻先に突き立てた。
「動かないで。これがないと、あんたはただの人族にすぎないって、もうわかってる」
ユーリィは、左手で金属製の薄い板金――タブレットをひらひらと振った。




