2 これまでの旅路 ★挿絵アリ★
僕は闇の神に魂を捧げ、人間を捨てた。
村を火の海にした仇敵の行方を辿るべく、リーバインの城下街までやってきた。
情報を得ようと訪れた賞金稼ぎギルド。そこで、仇である『影』の一体と戦闘に陥る。
瑠璃色の髪と、アーモンド型の瞳を持つ少女。やけに軽薄で異様に明るい敵。あらゆる魔術を駆使する最強の使い手。
その『影』との戦いは、まさに死闘と言えるものだった。
敵の圧倒的な魔術攻撃の前に、僕は何度も死んでしまった。
何度も死ぬ、というのは比喩じゃない。本当にそうなった。そして、僕は何度も蘇った。
『影』に復讐するために。
そしてついに、死闘も終わりを迎えた。
青い髪の少女に、僕の黒い炎がついに辿り着いた。
復讐の炎で、『影』の全てを燃やし尽くす――。
直前に。
灰になる一歩手前で、わざと僕は、鎮火させた。
「……彼女は……生かしてください」
朦朧とした意識の中、同行の友であるトカゲさんへ『影』の処遇を託す。限界を迎えていた僕は意識を失った。
昏睡状態の間にも、トカゲさんは僕の意図を読み切って動いてくれていた。トカゲさんのみが入ることができるといっても過言ではない、秘密の場所――万物を治療できる唯一の聖域、『精霊の里』まで『影』と僕を運び、治療を施した。
二人とも、一命を取り留めた。
そして青い髪の少女は今、治癒施設の植物製ベッドの中で眠っている。
「……他の『影』の情報を……引き出すんだ……」
さあ、復讐の時間だ。




