14 最強の魔術師 その① ★挿絵アリ★
「ねえねえ」
「……」
「ねえってばー」
「………」
「聞いてる?」
「…………」
「ねえねえ、『魔王様』」
「……………」
「『魔王様』ってばー」
「………………」
「うー、『魔王様』冷たい」
「もうよしてよ!!!! あれは作戦だって言ったでしょ! おびき寄せるための作戦!! 本当は僕が魔王でもなんでもないこと知ってるくせに!」
「はーい♡ 魔王様♡」
「……だめだこりゃ」
重く長い溜息を吐く。
ついに僕たちは、リーバインの城下町にたどり着いた。
ヴルカン村の悲劇から一命をとりとめ、魔女の館の地下で儀式を行い、リーバイン王都に向かう関所で交戦し、ようやくの目的地だ。
あの『影』の襲来から、七日が経った。いまだこの城下町も、その戦火から復興できていない。周りを見渡しても、いたるところに破壊の爪痕が残っている。
時刻はちょうど夕暮れに差し掛かっており、街の有志による瓦礫撤去作業も一区切りで家路につこうとしている。
当然僕は、顔の刻印を隠すためローブを目深に被り素性を隠している。そうしないと魔族だと糾弾されてしまい、復讐どころではなくなるからだ。
隣では、なぜかニコニコ顔の幼馴染。
さっきから、魔王様魔王様って、なにがそんなに面白いんだろう……。
街に目を配ると、廃墟となった家屋と戦火を逃れた家屋。違いはあれど、住人はみな不安げだった。しかし、掛け合う声は明るい。おそらく普段通りの生活をして、なるべく早く日常を取り戻そうと懸命なのだろう。
そんな街中をあるく僕とシャルは、目指すところを見つけた。
「ユーリィ、あそこ」
「よかった。破壊からは逃れていたみたいだね」
茶化す声から一点、朱鷺色の髪の少女が指さした先は、裏路地にある怪しい建物。
建物には、剣と盾の紋章が掲げられている。
それは『冒険者ギルド』の証だった。




