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14 勇者の降臨 その②
聖騎士姿に変わった影が持っていた奇妙な長方形の板金。
それはこの世界の住人には未開の道具だったが、別の世界の住人にとっては慣れ親しんだものでもあった。
「王の許可は得た。我らをもてなせ」
退出した聖騎士の影が、廊下を歩きながら城の従者たちに指示を出す。
「は、はいっ!」
従者たちが慌てて踵を返し、伝令に走る。
聖騎士はその姿を見て薄く笑う。その手には板金があり、よく目を凝らせばわかるのだが、その表面にはヒビが入っていた。
突然、何方からか襲い来た『災厄』の四体。
彼らの素性は全くの未知で、解明の端緒すら掴めなかった。
この世界の住人には、今はまだ。