クリームシュカの家に転がり込んだ日
人助けその5
「結局行く当てもなく一人で屋敷に居るわけですが」
あの惨劇の後。私は行く当てもなくあの惨劇が起こった屋敷にまだ残っています。
「確か彼、血の匂いを追って助けに来たとか言ってましたね」
なら、自分で自分の手でも切れば…また来てくれるでしょうか?
「…こ、怖いですね。でも」
このままこの家で過ごすのは苦痛ですし、かといって他に行く当てもなく。なら、見ず知らずの彼に頼る以外方法はない。調理場から包丁を持ち出し、自分の手首に当てる。
「い、いきますよ」
「わー!ちょっと待ってー!早まっちゃダメだよー!」
急に聞こえた誰かの声。いや、誰かなんてわかりきってる。この優しい声は…。
「…クリームシュカ。また会えましたね」
「うん!会えたよー!だから早まっちゃダメー!」
わんわんと泣きながら、ごめんね、悲しかったね、寂しかったね、もう大丈夫だから早まっちゃダメだよと言って私を抱きしめるクリームシュカ。
「…いや、別に家族の後を追おうとしていたわけではなく、単に貴方を呼び出そうとしていただけです」
「そ、そんなことのために手首を!?無駄に行動力あるよね、君!」
「無駄とはなんですか、無駄とは。貴方の方こそこの間知り合った小娘の様子を見に来るなんて、無駄に優しい人ですね」
「ご、ごめんね。無駄は失礼だったね、ごめんね」
気の弱い人ですね、クリームシュカは。
「でもなんで僕を呼び出そうとしてたの?」
「…行く当てがなく困っていたんです。養ってください」
「ず、随分単刀直入に言うね!?まあ僕もそのつもりで君を迎えに来たんだけど」
「…?なんだ、そうだったのですか。呆れるほど無駄に優しい人ですね、貴方」
「だから、ごめんねってばー!」
「で?対価は?」
「そんなの要らないよー。強いて言うなら僕と仲良くして欲しいなー」
「それでは私が納得出来ません。そうだ、貴方吸血鬼なんですよね?私の血をあげます。それでどうでしょうか?」
「ええ…僕、基本的には人間の血は飲まないことにしてるんだけど…うーん…本当にいいの?」
「貴方が嫌じゃないなら」
「じゃあそれで。これからよろしくね、リーンカ」
「ええ、よろしくお願いします。クリームシュカ」
こうして私はクリームシュカの家に転がり込んだのでした。
行く当てのない少女を引き取る