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私とクリームシュカの出会い

人助けその2

思えば私とクリームシュカの出会いは強烈でしたね。なんせその時、私の家族皆殺しにされてましたから。クリームシュカが助けてくれなかったら私も殺されていましたしね。いやー、間に合って良かった良かった。


…いつも夢に見ます。あの日のことを。私はその夜に惨劇が起きるとも知らずに、のんびりと家族団欒を楽しんでいました。いつもと変わらない日常がこれからも続くと信じて。ええ、今考えると愚かなことだと思います。もっと親孝行をして、もっと弟を可愛がってやれば良かった。本当に心から反省しています。まあ、やり直しが効かないのが人生というもの。後悔しても仕方ないのですが。


さて、そんなわけでいつも通り寝所に入って寝ていたところ、突然叫び声が聞こえてきました。すぐに飛び起きましたよ。あれは多分、メイドのオレーシャのものだったのでしょうね。私は最初、ゴキブリでも出たんだろうと思い、寝直しました。ですが、すぐにそれが間違いだったと気付きました。屋敷の中が叫び声だらけになったのです。怖くなって、部屋から出て様子を見に行きました。目に入ったのは一面の赤、赤、赤。その中には可愛がっていたメイドのオレーシャ、オフェリヤ、ライーサもいました。叫び声を上げそうになる自分を必死で止めました。いやー、怖かったですよ。もう本当に全身の血が凍る思いでした。それにほら、あの頃の私15歳でしたから。え?今も変わらない?18歳と15歳は人間にとっては大きい違いですよ。


さて、しばらく歩くと可愛い弟、ザーリュシュカの変わり果てた姿を見つけました。涙が溢れて止まらなくて、ネグリジェが赤く汚れるのも構わずザーリュシュカを抱きしめました。そんな時でさえ、声を殺して泣いたのですから自分の冷静さが恨めしいです。え?一緒に逝きたかったか?難しい質問ですね。貴方に助けてもらったことを嬉しく思う私もいますが、私を助けた貴方を恨めしく思う私もいますから。…助けてもらっておいてそれはないですよね。すみません。いえいえ。


そんなこんなで両親の遺体も見つけ、茫然自失の状態で歩いていると、可愛いもう一人の弟、犬のレオニードに会えました。レオニードは怪我を負っていましたがまだ生きていました。嬉しかった。大事な、唯一の生き残りの家族。嬉しかった。でも、運悪くその時に私達は犯人の一人に見つかってしまった。レオニードは私を守るように立ちはだかり、犯人に立ち向かっていってしまった。そして…。家族の遺体は見つけていても、家族の殺される瞬間を見たのはそれが最初で最後でしたから。叫んでしまいました。犯人達が次々と部屋に入って来ました。ああ、そういえば結局彼等の狙いは何だったのでしょうね。やっぱり私達家族になんらかの恨みを抱いた者から依頼でも受けたのでしょうか?今となってはわかりませんね。警察も頼りにならなかったですから。


そんな時でした。貴方がきてくれた。不思議な魔法で彼等を拘束し、私の怪我を治してくれた。私の家族の遺体も少しはマシな見た目に直してくれた。そして貴方はわんわんと泣く私をずっと抱きしめて慰めてくれましたね。その日の朝、私は警察を呼び助けを求めて…。


結局、頼りになる大人が身近にいなかった私は、貴方の家にこうして転がりこんで今に至りますね。


まあ、良かったことと言えば貴方に出会えたことと、面倒な貴族のしがらみから解き放たれたことでしょうか。貴方に出会えたことは本当に良かったと思っているんですよ。これでも。大事な私のお友達。これからもよろしくお願いしますね、クリームシュカ。

少女を守る

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