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第六話 説明書(後編)

同時投稿三つ目(最後じゃないよ!)

 ふう、すっきりした。何時間ぶりなのかわからない風呂は最高だった。


 それじゃあ風呂上りに牛乳を飲みながら――前世からの習慣だとはっきりと覚えていた――リビングを調べよう。


 だがまぁ、例によって特に変わったところはない…いや、妙だな。


「なんのためにあるんだ…?」


 テレビがある。最近は置いていない家も増えているというが、それがあること自体は普通だ。


 だがことここにおいては一つ、重大な問題というか、大きな疑問がある。


 何を映すのか、ということだ。


 電波は届かないはずだし、録画の類があるのか…いや、もしかするとこの世界にはテレビに準ずるものがあるのかもしれない。


 そもそも「剣と魔法の世界」だからと言って、現代ほど発展していないというのは先入観だ。「剣と魔法」が主力であること以外は明言されていないのだから。その剣はブオンブオン音がして暗黒面に落ちたりする光物なのかもしれないし、「高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない」とばかりに科学で魔法のような力を使えるように人間を「開発」してしまった先進科学都市のある世界なのかもしれない。どちらも考えようによっては「剣と魔法の世界」だ。


 だがまぁそれも、良きにつけ悪しきにつけ可能性の一つに過ぎない。人がいない可能性だってあるわけだし、想定しうる最悪のパターンだと意思を持った剣と魔法が闊歩していて、人間は滅び去った後とかいう可能性だってないわけじゃない。俺はここまで良くしてくれた神様を信じているが。


 脱線してしまったが、とにかくこのテレビは何を映すためのものなのか。例によってタブレットで解説を探す。そういえばこのタブレット、バッテリー残量の表示がないけど、やっぱりこれもバッテリー無限なんだろうか。


 テレビについての説明があった。…要約すると『このタブレットの画面を表示することができ、それによって大画面で操作したり、現代の映像作品を再生したりすることができる。またこの世界でテレビ放送などが始まった場合、受信可能な地域にいればそれを受信することもできる』ということらしい。この書きぶりからしてテレビ放送は「まだ」始まっていないようだ。


 一般的な「剣と魔法の世界」である可能性が高まった。よかったよかった。





 他には特に変わったところのなかったリビングを離れ、いよいよ広大なトレーニング施設だ。ここはこのタブレットで設定したトレーニングを行える施設らしい。設定によって空間内の置物(オブジェクト)の配置が変わるとかいう、非常にVRっぽい何かだ。なにやら「キリング・ハウス(S A S式)」とかいう物騒なメニューが見えたが、今はこれに手を出してはいけない。絶対にだ。


 他にも、弾薬箱や、収納スペース、作業机なんかがある。というよりこれは武器庫だ。


 例によって弾薬箱(アモカン)に入っている弾は無限湧きのようだ。とりあえずここへ戻れば弾薬を補給できる、というのはありがたい。他にはこれと言って何もなさそうだ。


 さてトレーニングを始める前に、現状のスキルについて確認しておこう。最初はイメージでウィンドウを組み立てたが、タブレットにも表示できるらしいので今回はそっちを試す。


 ひとまず、これが現状のスキルだ。



ユニークスキル 状態把握

        神器召喚(現代)Lv2


スキル 隠密Lv1

    射撃Lv1

    近接戦闘Lv1


状態 精神ダメージ



 毒は問題なく治っている。精神ダメージは仕方ない。


 まず、ユニークスキルの「状態把握」。これは要するに、この画面またはウィンドウを表示するスキルだ。ついでにゴブリンに立ってたあの矢印みたいなマーカーもこれの効果によるもののようだ。地味…なようだが、一人の人間の発展性として考えるのなら、これが一番チートだと思う。


 なぜならスキルという「才能」と「技術」を可視化できる、即ち人生の成功への近道を導き出すことができるからだ。己の才能を把握できることほどチートなことはない。もしこれが他人にも適応できるのなら、上手くやればこれだけで占い師みたいなことして食っていけるだろう。


 まぁ俺はそんな話術を使いこなせないし――そもそも言葉が通じるのかもわからん――それはひとまず置いておく。


 一番ややこしそうな「神器召喚(現代)」は後回しにして、次は「隠密」「射撃」「近接戦闘」の各通常スキルだ。「隠密」は隠密行動系技能…気配の消し方とか、足音を立てない歩法とか、そういうやつだ。「射撃」はまんま銃の射撃にかかる技能、「近接戦闘」は…要するにCQCを含む広義のCQBの技能、つまりどれも名前の通りのスキルだな。これらをここのトレーニング施設で上げることができるわけだ。


 で、最後に「神器召喚(現代)」だ。武器兵器を含む現代の物品を、神による被造物として「召喚」する…まぁわかりやすく異色なスキルだ。いろいろ悪y…応用は効くだろう。武器以外も召喚できるようで、召喚できるもののリストに、銃や装備の名前に混じっていくつか妙な単語が見え隠れしている。「軽トラ」だの「電気マッサージ器」だの…未だ伏字のものも多いことから、恐らくレベル上昇に伴って機能が開放されていくものと見た。


 ところで(現代)とついているから現代製品なのかもしれないが、そうだとするなら(現代)でない「神器召喚」は何を召喚できるものなのだろうか?少し気になる。


 さて、それじゃあ早速何か召喚してみるか。


続きます。(同時投稿は次で最後です)

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