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いつまでも一緒に

あの夜から、何年か経った。

トラは二年くらい前から集会に顔を出さなくなった。

猫は死に際を他人に見せない。

その習性が関係あるかは分からないが、トラは消息を絶ったままだ。

心配はしない。きっと、何処かで元気にやっているだろう。

目の前を一人の女の子が、トテトテと危なっかしく歩いていった。


―――――いつまでも、一緒、なんでしょ?


クロの声が蘇り、僕は悟る。


あぁ、この子か。


何も知らない無垢な瞳に、無邪気な笑顔。鈴のような笑い声。愛らしい動作。

君は、この女の子に生まれ変わったんだね。


女の子が、僕を振り返る。

そして、にっこりと笑った。


「しろねこさん、どうしたの?」


僕は、女の子に駆け寄り、足に擦り寄る。


「あら。ゆうちゃん、懐かれちゃってるわね」


女の子の母親が、優しい顔で笑う。

女の子の柔らかい手が、僕の頭をそうっと撫でる。

喉を鳴らすと、女の子はころころと笑った。


「この子、首輪をしてないってことは野良かしら」


「ねぇ、おかあさん。わたし、しろねこさんといっしょがいい。いっしょにかえりたい」


「そうねぇ…。張り紙をして、この子の家族がいないか探してみましょうか」


「えー」


「もし、名乗り出る人がいなかったら、その時は家族になりましょうね。お父さんも猫好きだから」


「やった!」


女の子が僕を抱き上げる。

ぎゅうっと力強く抱きしめられて苦しい。

すると、母親が僕を抱き上げた。


「お母さんね、昔、猫飼ってたのよ。こうやって、優しく包むようにね、」


「わかった!わたし、できるよ!」


女の子は、今度は優しく僕を抱いた。

そして、僕の目を覗き込んで、無邪気に笑った。


「ずっといっしょだよ、しろねこさん」


僕はその笑顔に誓う。

きっと、僕の残り時間は少ない。

多分、この笑顔を曇らせてしまう日が来る。

―――――それでも。


「にゃあ」

“いつまでも一緒だよ、クロ”


ありがとうございました。

最初に書いてたあとがきは、長かったので活動報告の方に移動します。

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