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イグ恋!-愛機のF-15が美人になっていてー  作者: 室内あるみ
第一話「私の名前はイーグル」
7/50

仮説を否定しよう

 柄にもなく深く物事を考えていると、気が遠くなりそうな感触になり、軽い眩暈を覚え売り場を離れた後ベンチに座った。

 瞼の間、鼻の頭を抑えて押し込める。ぐりぐりと押すと眩暈も軽く収まったような気もする。立ち上がり、売り場を見回すと買い物袋を持った099号機と一ノ瀬三尉がこちらを探しながら回っている。

「おーい」

 右手を上げながら声を掛けると、099号機の方が振り返りブンブンと手を振り返してきた。

「アテネさーん次行きますよー」

 099号機が小走りにやってくると腕を掴んで引っ張ってくる。

 それを追いかけてきた一ノ瀬三尉も099号機も頬を膨らませている。どうやら少しはぐれただけでも心配させたらしい。恐らく主に099号機の方が、であるとは思うけれど。

 一ノ瀬三尉が顔を吊るような感じで引きつらせて、辛辣な言葉で詰ってくる。

「いきなりはぐれるとは貴方は馬鹿ですか?」

「んなこと言っても女性下着売り場に入るのは憚られるだろ。次、部屋着でよかったな」

 逃げるような言葉で、場を濁す。この会話において男は十中八九不利、下手に反論してこれ以上怒らせるなんて下策中の下策だ。引っ張られる腕を離して、腕を売り場表示の看板に向けると2人も頷き、足を先に進める。それをゆっくりと追いかけながら、モールの喧騒に耳を沈める。意識が深く深く収まり、遠くの音まで聞こえてきそうだ。

「袋、持つよ。渡してくれ一ノ瀬」

「もう少し早く取ってくださいね風見さん」

 階級付けを外しながらも口調はキツイままだ。まぁ女性なんてそんなものか。姉もそうだったし、社会の共通点なんだろう。

 一ノ瀬三尉と背中を並べ、099号機の試着が終わるのを待ちつつ、携帯をいじる。

 ワード検索、那覇基地、アラートハンガー・・・っと。何も出ないか。それに今朝のアラート機展開の写真では099号機が写っている、ということはだ。やはり今朝はあの姿じゃなかったってことだな。

「何を調べているんですか?」

「今朝の那覇のイーグル。俺たちの認識と他の人の認識の違いかもしれないという仮説の否定のためだ」

「仮説?」

 不思議そうに首を捻る一ノ瀬三尉の姿に一瞬ギャップを抱えながらも言葉を選んで返答していく。

「んーとだな。簡単に言うと異世界転移したんじゃないかっていう線を確かめている」

「異世界転移、とは最近の流行のあれですね」

 最近ではラノベやSF小説だけじゃなくて漫画とかアニメでもよく見られる設定だからなじみ深いという人もいるだろう。あぁいう作品はこちらの常識を主人公が持っていることにより、視聴者が分かりやすく感情移入しやすく認識も楽な手法で、それが流行った理由でもある。供給数が多ければ需要側は選ぶ選択肢が増え、そこから流行る作品も増えるっていう寸法だ。数打ちゃ当たる戦法の代表的な例と言ってもいい。

 まぁ、その線は今朝の写真が飛行機のままだったから、完全に消えた。

「ま、無事仮説は否定されたわけだが」

「なんですか、そうやって解決はできないのですか」

「出来てたらこんな服を買いに来るなんてしてない」

 服をローテーションする前提の買い物をする必要も、異世界転移だったら必要はなかった。彼女のような存在が当たり前のものなのだったら、基地にイーグルたちの服が置いてあるはずだから。次に疑った那覇基地だけが取り残されたという線も完全に消えている。今朝まで機体自体がこちらの世界に記録されていたからだ。

 つまり、次の過程をするならばあの星が降った日に迎撃に上がった各国で同じようなケースが起きていないか、それだけが問題だった。それさえわかれば同類項をまとめられる。

 099号機が服を持って試着室から出てきた。

「良さそうなのはあったか」

「はい、これとこれを買って部屋着にローテーションします」

「じゃあ残ったの置いてくる。一ノ瀬、玲子を連れて会計頼む」

 荷物を受け取ると一ノ瀬三尉にアイコンタクトを取る。2人は会計の方に歩いていき、残された俺はさっきまで回っていた売り場に戻っていく。

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