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イグ恋!-愛機のF-15が美人になっていてー  作者: 室内あるみ
第二話「俺はイーグルドライバー」
23/50

表情に出やすい

 実験って言ってもどんなものなんだろう。ふと疑問を持ったところで斜め前に座っていた隊長から目線を向けられた。何か考えていることを見破られたのか。

「隊長、どうされました?」

「実験、大したことないから。そんなに心配しなくても大丈夫だぞ」

 精神医がヒステリーの患者を落ち着かせるような口調で言うように、隊長が諭してくる。俺の考えていることを見破ったうえに、内容先読みするなんて怖すぎる。そんなに顔に出てるかな?

「心配なんてしてないですよ!」

「アテネさん、心配してくれないんですか?」

 勢いよくコーヒーカップを置いて反論すると、再び俯いていたイーグルが寂しそうな顔色で呟く。その様子を見て思わず、椅子に座りこんでしまう。罪悪感というか、真っ白なカーペットにコーヒーを垂らして染みを作ってしまった時のような複雑な感情に襲われてしまった俺は居心地が悪くなって、腰を変に上げつつ、取り繕うようにイーグルの機嫌を取ろうと必死にアクションを起こす。

「その、別に・・・心配してないってわけじゃないよ」

「でも、心配してないんですよね?」

 頬を掻きながら居心地悪く答えを返すとニンマリと笑うイーグルが再び攻撃ともいうべき発言を繰り返してくる。そこで気が付いた。イーグルは分かってやっている。悪気あってやっている。こいつとんでもない飛行機?だ!

「お前さっきから揶揄ってるだろ!」

 目の前に座って不敵な笑みを浮かべるイーグルに指を向けると、彼女は指の先端、爪の辺りを掴んでニヤーとする。

「いやー。アテネさんが余りにも表情豊か過ぎて揶揄ってしまいました」

 表情豊かって褒めてないだろ!いや、本来なら誉め言葉のハズなのにこんな不敵な笑みを浮かべられたまま言われても信用性に欠けるというか、そもそも意味合いが変わってくるというか。いやこの場合は、完全に面白がって言っているだろう。今朝の寝起きドッキリ未遂と言い、イーグルはどうも悪戯好きでお茶目な感じに接してきている。

「そんなに表情出てます?」

「出てる出てる、昔から、面白いぐらい」

 落ち込んで肩を落とし、隊長の方向を向いて呟くと隊長は高笑いを上げながらイーグルの言葉に同調した。

「一ノ瀬さんもそう思いますよね?」

「ええ」

 イーグルが一ノ瀬三尉に振ると、彼女もまた同意する。4人中3人の同意が得られたことにより民主主義国家であるこの日本においては俺の方が少数派で否定される側となったわけだ。

 とりあえず、このままイーグルのペースにして調子に乗らせるのも癪だし、話題を変えようそうしよう。

 そうしないと俺のペースが崩されて、黒歴史が出来てしまう。

 食後のコーヒーを飲み終えるとカップを置きつつ、咳ばらいをしてから小声に変え隊長に実験って自分も参加できますか?と聞いてみた。

「なぁんだ、やっぱり心配してくれてるじゃないですかぁ」

 うるさいイーグル。

「実験には風見も参加だ。というよりも俺の方針としては風見、一ノ瀬の2人に309派遣隊という部隊を作って099号機、つまりはイーグルちゃんを運用してもらおうと思ってる」

 その言葉は衝撃だった。

「イーグルを、運用する?」

 思わずオウム返しに聞いてしまう。前に座っていたイーグルと隣に座っていた三尉も初耳のようで同様に驚いていた。

「そう運用。イーグルちゃんとあの機械を飛ばすとしたら空中管制できる機体を使用して並行運用しないといけないんだ。その重要な役割にあたれるのは初期からの対応をしていた2人が最適だって航空幕僚の方は考えてるらしい」

「それ、オフレコじゃないんですか?」

 三尉が訝しむように聞く。こんな上層部でも検討しているか眉唾物な話をわざわざ俺たちに降ろしてくるだろうか、普通はそんなことせずいきなり伝えるのだと思うが、今回は何もかもイレギュラーってことか。

 でも三尉は警備科なのにいきなり空中管制やらの処理ができるだろうか、結構な疑問ではあるが、それはひとまず置いておいた。

「あー本人たちに言うぐらいは良いだろう。っとそろそろ時間だ。309は今日は早朝から訓練をしているからメンバーは少ない、よし行くぞ」

 隊長がそう締めると全員席を立ち、歩を進めていく。

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