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イグ恋!-愛機のF-15が美人になっていてー  作者: 室内あるみ
第二話「俺はイーグルドライバー」
18/50

夢は初陣

 目を閉じると、暗闇が訪れ。目を閉じて開くと暗順応した目が小さな灯りを見つけて追いかけた。

 瞼が重くなっていく。意識が揺れるように感じ、薄い。そのまま力を抜くと自然と眠りについた。

 気が付くと意識はF15MJのコクピット内だ。

 自然と腕がエンジンの燃料供給コックを触れてチェックを始めており、エンジンスタートの手順を踏んでいる。コンプレッサーを繋ぐと一瞬針がビビり、空気が供給され始めて、エンジンもAPUがタービンを回し始めた。

 エンジンスタート。

 ギュイィィィィン、腹の底から鳴る音。

 ピーっ、短い警告音。

 ポポポポポ、機械音が鳴り始めるとタービンの奥に点火され、スロットルを僅かに押し込むとタービンの回転数が上がり、エンジンがスタートした。

 無線のサイクルが示すのは那覇タワー、そして第9航空団の作戦用サイクルに合わせると、誰だか分からないが声が響く。

「デスティニーリーダーより、スクランブル。マックスパワーでヘディング300。目標はPLAAF、H6K(轟炸6型)」

「2」

 少し遅れて俺の声。俺は喋っていない、これは夢か。でもこんなスクランブル、これまでにあったかな?

 記憶をたどるが特に物覚えはない、明晰夢?妄想?それにしては出来過ぎているような気もするが、まぁ今は夢の中だろうと操作に集中するべきだろう。

「ディスティニーフライト、スクランブル、オーダー」

「ディスイズ那覇タワー、スクランブルラジャー。先行着陸機がいる、滑走路前でホールドして60秒後に離陸せよ」

「ラジャー」

 編隊長がフライトチェックインを済ますと、既にアプローチに入っている民間機がいることを伝えられ、滑走路前でホールド(停止)する指示を受けた。

「風見、初めてでも緊張するなよ」

 編隊長からの無線。この声は...隊長?

 それは第9航空団の309飛行隊隊長である宇月一佐の声だった。完全に思い出す。そうだこれ俺が初めてORになってからスクランブルがかかった時のことだ。この時のバディは隊長、対象機はH6Kで普段のスクランブルと代り映えしなかったから忘れていた。これは俺の初陣だ。

 下にサイドワインダーを2発、増槽を3本フルにつけた状態で下地島上空を通過後南下してチェイス、思い出せる思い出せる。この後離陸で若干先走るんだ。それでフライト後のデブリーフィングで隊長に前に突っ込み過ぎだと怒られた。

 そうやって夢の内容に気が付くと謎の緊縛感がなくなり、体は自由になり。

 滑走路に向かう誘導路へとF15Jのヘッドが左右に揺れ、長いランウェイに直角に停止すると頭が縦揺れした。バイザーを下すと視線が暗くなり、操縦桿を押し引きすると尾翼、主翼のエルロンが揺れた。

 離陸用のフラップを出し、編隊長の指示によるマックスパワーチェックを済ます。ドロドロした音が背中から響く中、旅客機が下りてくる。4発2階建てのジェット旅客機、エアバスA380だ。滑走路にタッチダウンした瞬間、管制から滑走路へのランナップ指示が出た。

「さぁて行くぞ」

「2」

 短く返答しながら、タイヤの指示をラダーを蹴ってブレーキを掛ける。

 スロットルを開き、加速した。機首が上がると一気に加速してきてギアアップの動作の警告がなる。とりあえず離陸はできた。このころは危なげさしかない。

 機首が前を飛ぶ隊長の機体のエルロンの方向にぶつかりそうになる。そうだこの後、隊長がミラーで見て寄り過ぎだって怒られるんだ。思い出したぞ。

 おもわず息を飲む。

「アテネ、寄り過ぎだ」

「ですか?」

「緊張しすぎだ、もう少し距離開けろ。下地島越えたら4マイル」

「ラジャー」

 ほんの一瞬だけ目を瞑り、見開く。機体の全体のラインがつかめるように見え、位置関係がつかめた。操縦桿を左に僅かに押して、スロットルを引く。上昇加速が終わり、編隊長の背中を追いかけるように水平飛行に移った。

「アフターバーナー、オン。一気に行くぞ」

「2」

 ドンという背中の音と共に強烈な加速で体が押し出される。燃料計の針が踊り、ダンスを始めた。

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