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イグ恋!-愛機のF-15が美人になっていてー  作者: 室内あるみ
第二話「俺はイーグルドライバー」
17/50

知らないということは恐怖だ

 俺が初めてF15という戦闘機を見たのは18年前の7歳の頃、わざわざ遠くにある空自小松基地の基地祭に行った時のことだと思う。初めてその戦闘機を見た時に感じた気持ちは、「怖い」だった。それが人の命をなくすことも可能なものであるという事実と、その胴体のラインの滑らかさにギャップを感じ、何も知らなかった俺はただ恐怖を感じていた。

 人間は知らないものというのに恐怖を抱く。それに怯え続け何も知ろうとしない場合に育つのはとんでもない世間知らず。人間は皆、知らないという恐怖を知識欲で克服し、満たすことにより成長するものだと思う。

 そうして俺は家に帰った後、その恐怖についてひたすらインターネットや本、そして両親に聞くことで克服していくうちに好きになっていた。気づいた時には父にプラモデルを買ってもらい、母に近隣にあった基地祭に連れていってもらっていた。

 もうその時にはF15という戦闘機が好きになっていた。

 日本のF15はC、D型を独自改修したJ、DJ型があって、その中でもJ型はSJ型とMJ型に分けられる。099号機は近代化改修を行いディスプレイを追加した2型改修MJだった。FLARポッドも搭載可能で、改修されてからは次に導入されるAIM120C7の搭載も可能にしている。

 と言っても日本のイーグルが実戦飛行と言っていいスクランブルに上がる際に搭載するのはM61A1バルカン砲の弾薬と短距離AAMのみだ。

 F15が実戦最強であると言われる所以は一つ、実戦で撃墜されることなく敵を叩き落とし続けたから。とはいっても撃墜自体はされている。それも実戦ではなく、FFフレンドリーファイアによって。それが自衛隊のF15J損失事故だ。撃墜を一度もされていなかったF15の歴史に泥を塗ったのは間違いないが、日本がイスラエルに次ぐF-15運用大国でもあるのが事実。

 そうして調べていくうちにドンドンF15が好きになり、他の戦闘機も調べていくうちに航空機自体が好きになり、高校の進路相談では真面目に航空学生を提出した。

 幸い学科試験は受かる程度の頭を持っていて、運動もできた俺は見事合格して以来、「なんとしてでもF15」と言い続けて、訓練を耐え凌いだ。

 そうして戦闘機パイロットへの道が開かれ、T4に乗った時、足りないと感じた。

 T4での訓練も終えアメリカへの留学をして、F15のライセンスを得た俺はいよいよアメリカでF15Cに乗った。この時の興奮は今でも目を閉じれば思い返すことのできる風景の一つだ。

 シミュレーターを終え、初めて実機を触った時の興奮といったらとんでもない。

 エンジンをスタートさせた時、警告音と共に跳ね上がるターボファンのタービン音が背中で響き、空気を吸い込んでいった瞬間には涙が浮かんでいた。

 そして、滑走路をタキシングしている間の離陸までの興奮は止まらず、ドーパミンがドバドバと溢れだし離陸に向けてスロットルのパワーチェックをした瞬間には背筋が震える。そしてスロットルを緩やかに押し出し、アフターバーナーが点火された瞬間に背が押し込まれ、とてつもない勢いで加速するF15の力に涙がこぼれていた。

 そしてOR(飛行要員)として第9航空団に所属になってから2年がたって今に至る。

 毎日のようにF15Jを飛ばすことは楽しかったしスクランブル待機も張り詰めた空気感が独特だった。

 そして俺はイーグルドライバーとして生きてきた。でも、俺がイーグルドライバーになった瞬間の興奮は今でも忘れられない。

 布団に体を倒しながら一通りの回想を終え、電気のコードを引っ張り消した。今日一日長かったな。

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