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イグ恋!-愛機のF-15が美人になっていてー  作者: 室内あるみ
第二話「俺はイーグルドライバー」
16/50

俺がイーグルドライバーを志したのは

 シャワーのコックから手を離し、タオルで頭を拭う。

「で、デートはどうだったんだ?」

「げほげほっ!」

 唐突に今日のことを訪ねてきたコブラの言葉に思わず咳き込んだ。さっきまでそのことで悩んでたのにここで掘り返すなよって言っても分かるわけないし、コブラにとっちゃ面白い会話のネタでしかないのだろう。なんだか悔しいな。

「べっつにー。ちょっとトラブルがあったけどイーグルが099号機であることが分かっただけ」

「へぇーやっぱり人になってたのか」

「信じられないけどな」そう言いつつ湯船に身を落とす。足の奥からじんわりと芯の方から温まっていく。水道から流れ出るお湯を肩にかけながら、湯船の底に尻を当て、大きく息を吐いた。

 コブラが体を洗いながらこちらを振り返ってくる。なんだか不敵な笑みを浮かべていた、とっても気持ちが悪い。いい年こいた御人がニヤニヤしてるなんて背筋が冷やされるような感覚に襲われるだけ。

「イーグルって名前いいな。呼びやすい」

「ん、そうか?」

「お前だったらイーグルなんて名づけるのに抵抗感あるっていいそうだったんだけどな」

 お湯で顔を洗いながら一度肩を落とした。今日もそれ考えてたんだよな、しかも一度は言葉に出しているし、それで微妙な雰囲気になってしまった。でももういいんだ。

「何があっても俺はイーグルドライバーで、イーグルとF15Jを一緒だけれど一緒じゃない個体として見分けることにしただけ」

「お前、なんでそんなにイーグルドライバーに固執するんだ?」

 別に最新鋭ってわけでもないだろ、と言葉を続けるコブラに湯船から立ち上がり反論する。

「イーグルは、最高の戦闘機だろ?」

「一応実戦最強、速度は速い方、航続距離も、搭載兵装も多め、まぁ確かに最強っちゃ最強だわな」

「違う、そうじゃないんだ。あの美しい獰猛なライン、猛々しいF100というPW系の高出力エンジンの音!」

 そこまで語り最後に言い切る。

「なによりドライブしたときの反応だよ!」

「あぁーおう、なんつうか分かるような分からないような気がする」

 F15のプラット&ホイットニー製のF100エンジンの轟音は体に響くし、何より全体的綺麗に纏められたデザインは最高に素晴らしい。そして加え言うならば、ドライブした時の肉体の力を求められる瞬間、筋肉が収縮したあと筋肉が弛緩し呼吸が入るシーン。T4とは比べ物にならない快感をあの戦闘機は与えてくれる、他の戦闘機を知らないとはいえ、何故か隣の芝生が青く見えない。

 そこまで熱弁した俺は湯冷めしそうになり体を湯船に戻す。コブラも体を洗い終わったのかお湯で暖めたタオルを目にかけながら湯船でリラックスし始めた。

「ま、F15の撃墜は自衛隊だけどな」

「まぁね。でもF15が良い戦闘機でないという反証にはならないぞ」

「まったくお前のイーグルオタクぶりはすげぇよ、流石少年の頃からの夢追い人」

 コブラが呆れるように言葉を締めると会話は終わり、自然と落ち着いた静かな空間が訪れ、俺は湯船を上がった。

「あんれ、もう上がるのか?」

「おう、明日も勤務あるんでお先です」

「おーしお疲れー」

 軽口を交わしながら浴室を出て更衣室でバスタオルを取り出す。

 少年の頃からの夢追い人、か。確かにいいように言ってはそうなるか、というよりも僕は一体いつからイーグルドライバーを志したんだろうか、ふと思い返すと、その記憶は遠い昔までリンクしているような気がした。

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