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最弱魔法が知ったことか!  作者: 丸山ヤスコ
第2章 地球から1400光年離れた星
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海賊に滅ぼされた村

今回はヒロインの登場です。ぜひ見て言ってください!

「さーて、泳ぐか!」


僕は準備運動を入念に行う。


水泳は元々得意である。しかし体は既にボロボロ、全身がもう悲鳴をあげている。


しかしライトさんに励まされたことが、どうやら僕はたまらなく嬉しかったみたいで、高揚とした気分でアジトの近くの海から泳ぎ始めた。


「お?結構速くく泳げてる!」


修行の成果なのか、あまり苦しくない。地獄のような修行のせいで感覚が麻痺しているのか、身体が丈夫になっているのか分からないが。


しかし、5キロはさすがにきつい。でもこれで修業が終わるんだ、そう言い聞かせながら、懸命に頑張った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 「やっと着いたー!」


かなり時間がかかったが、島の船着場まで到着した。もう体力の限界である。帰りの事を考えてなく、結構飛ばしてしまった。


(帰りはこっそり船を使うか、いやそれじゃあダメだ!なに考えてんだ僕は!)


しかし、僕はすぐに異変に気付いた。


(船着場のはずなのに、船がない?それに、島からは人や魔物の気配もない)


僕は休憩がてら、この島を見てまわることにした。船着場や道があるから、人が住んでいたことは間違いないはずだ。しばらく道を進んでみると、そこには驚く光景が目に飛び込んできた。


「なんだ!?これ、めちゃくちゃじゃないか!」


僕の目の前には、家や木など何もかもが破壊された村があった。もう誰もいないのか?ライトさんはこのことを知っていたのか?色んなことを思い浮かべながら、早くこの島を脱出しようとしたその時―


「誰だオメェ、侵入者か?」


話かけてきたのは、半袖、短パンで頭にドクロマークが入ってるバンダナをつけた男だった。


(お前絶対海賊だろ)


僕は関わらないようにした。とりあえず、適当に言い訳しておくか。


「さあ、気付いたらここに立っていましたー」


(どういう言い訳だよ!)


自分で言っておかしくなってしまった。


「そうか、そんな態度とるってなら殺すしかねぇなーおい!」


そういうと、物陰から同じような服装の男がもう二人出てきた。


あーこれは非常にまずい。どうやって逃げようかと考えていたその時、


「待ちなさい!」


横から颯爽と女の人が現れた。そして僕の方まで一気に近寄ってくる。


「えっいやちょっとま…」


女の人に急接近された事に戸惑っているが、女性は御構いなしに僕に近づく。よく見たらナイフを持っている。


「いや、ちょっと、嘘だろ?」


僕は避ける事も防ぐ事も出来ずにナイフを腹に刺された…と思ったら、寸止めされていた。そして僕の腹に血のりをぶちまけた。


「倒れて、死んだふりをしなさい」


「は?」


「いいから早く!」


僕と女の人は小声でそんなやりとりをした。

何が起こっているのかよく分からないまま、言われた通り死んだふりをした。


「この男は殺したわ、ボスには報告しなくていいから、アンタたちは先に帰ってて」


「リラはどうするんだ?」


「コイツの後始末」


そういうやりとりをした後、海賊達は帰っていった。海賊達が見えなくなると、先ほどリラと呼ばれていた女性は口を開いた。


「もう大丈夫よ」


僕はそう言われて起き上がった。


「なんなんだ?一体…」


「あいつらは海賊よ、私もだけどね。この村を壊したのもあいつらよ」


「その言い方だとお前はこの村を襲ってないように聞こえるぞ?」


「ええ、それであってるわ、私はこの村出身なの。私はこの村を襲われた時、命欲しさにあいつらの仲間になったのよ」


「自分の村が襲われたってのに随分と薄情な奴だな」


「人には事情があるものでしょ?とりあえず、私の家に案内するわ」


「僕は東雲凪だ」


「私はリラ・ルーテ、16歳よ」


 (なんだ、同い年か)


僕は何となく親近感がわいた。とりあえずリラの案内についていってみよう。


リラについていくと、そこにはもう一つの村があった。その村は健在で、しかしどこか、押し殺したような雰囲気があった。


外にいる村人は全員僕達を見ている。リラはそれらの視線を気にすることなく進んでゆく。


「ついたわ、私の家よ」


リラの家はその村から少し離れたところにあった。


「ところであなた、この村の人じゃないわよね?一体どうやってこの島に入ったの?それに体もボロボロじゃない!」


「ベルンの町から泳いで来たんだ」


「呆れたわ…アンタ、馬鹿なのね。ちょっと体貸しなさい」


 「しょ、初対面だぞ⁉︎僕達!なのにいきなり体貸せって…お前痴女か!」


 「ちっ、違うわよ!私の魔法で傷治してやるからもうちょっと近づけって言ってんの!」


 「魔法?魔法で傷が治せるのか?」


 「まぁ見てなさい」


リラはそう言って僕の両手に触れた。そして、魔法を唱えた。


 "回復魔法・ケアス"


次の瞬間、リラの手から青白い光が現れ、徐々に僕を覆う。それと同時にぼくの傷が癒されていく。傷だけじゃない、空っぽだった体力や魔力もどんどん回復していく。そして青白い光はやがて消えた。どうやら終わったようだ。


 「どう?」


リラが尋ねてくる。


 「すごい、傷だけじゃなくて体力も魔力も満タンだ!」


 「まぁ今の熟練度じゃコレが限界だけどね」


 「いやいや、すごいよ!ありがとう!」


僕はすっかり元気になった。これで難なく泳いで帰れそうだ。


 「別に礼は要らないわよ、アンタの傷が見るにたえなかっただけよ」


 「…お前、海賊のくせに優しいな」


 「あんな奴らと一緒にしないで!」


突然声を荒げたリラに、僕は慄いてしまう。リラはすぐに平静を取り戻し、話を続ける。


「ごめんなさい、でも言ったでしょ?事情があるって。でも、そうね、簡単に話してあげる」


リラはスッと、呼吸を整える。


「私には今アンタにやってみせたように、特別な魔法があるの。名前は回復魔法。傷ついた者の怪我と体力と魔力を回復させるの。そして海賊達はどこからかこの噂を聞きつけてやって来た。そして、サガフの村は見せしめで滅ぼされた。そしてこのクオカの村は私が仲間になることを条件に滅ぼされず、海賊の支配下に置かれているのよ。外への情報漏洩を防ぐために、一切の島の出入りを禁止しているの。だから、誰も助けに来ない」


リラ簡潔に説明してくれた。最後は消え入りそうな声で。


「じゃあお前は嫌々海賊をしているのか?」


「どうかしら、最初は嫌々だったのかもしれないけど、海賊って結構自由でいいものよ」


リラは少し暗い声でそう言った。本当に自由なのかな?


「なんなら、僕がその海賊を倒そうか?」


僕はなぜかリラをほっとけなかった。リラの顔は自由そうな人の顔ではないからだ。しかし、


「アンタみたいな貧弱そうな男に何ができるわけ?大体この町には、200人海賊がいるの。軽々しく倒すとか言わないでくれる?アンタがやれるなら既に誰かやってるの!」


グサリと刺さる言葉を言ってきた。あんなに修行頑張ったのにまだ貧弱そうに見えるのか。


「ぼ、僕だってやる時はやるんだよ!まぁなんだ、助けて欲しかったら大声で僕の名前を叫べよ!きっと助けてやるからよ!」


「期待しないで待ってるわ」


さっきからリラがひどくて泣きそうになるが、何とか堪える。


「それより、殺したはずのアンタを匿ってることがバレたら大変だから、さっさとこの島を出て行って欲しいんだけど。もうさっきみたいに助けないから」


「あー分かったよさっさとでていくよ!」


そう言いながら、僕はリラの家を後にした。早くベルンの町に帰って、ライトさんに報告しなくちゃ。そう思いながら、村を歩いていると、男性から声をかけられた。


「ちょっと君ー、こっちこっち!」


建物の脇から男性が僕に手招きしていた。急いで帰らないといけないってのに。しかし、どうやら海賊ではなさそうなので、一応男性の方へむかった。


「初めまして、私はこの村の村長のイゾウ・ルーテです。さっき君はリラと一緒にいたね?」


リラと下の名前が同じだ。恐らくリラの父親だろう。


「はい、まぁ、僕は東雲凪です」


「それで、リラからはどんな話を聞いたんだい?」


「えっと、リラの魔法を狙ってきた海賊がサガフの村を滅ぼして、このクオカの村を支配下に置いた事、で、リラが仕方なく自分の村を襲った海賊達の仲間になってるって事ですかね」


「そうかい、リラはそんな事を言っていたのかい。あまり深くは話したくなかったってところかな。ナギくん、君にはもっと知ってもらいたい。僕は人を見る目には自信があってね。君ならリラを救ってくれると思ったんだ。少し時間をくれないかい?」


リラの説明よりも、多くの事を話してくれるのだろうか。早くライトさんに報告したいけど少しだけ聞きたいきがしていた。


「はぁ、少しの時間なら」


「ありがとう!恩にきるよ」


「いや、別に恩にきる必要はないと思いますけど」


僕はこの人の話を聞かなければ後悔することになる、なんとなくそう感じた。


その話は、この島と一人の女の子の悲劇と絶望の物語だった。

今回も読んでいただきありがとうございます。次回はリラの過去編となってます。次回もよろしくお願いします!

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